「必殺会計士」ザ・コンサルタント 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
必殺会計士
はらせぬ恨みをはらし
許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず
仕掛けて仕損じなし
人呼んで…
…と、某時代劇の名文句は「イコライザー」の方が合ってたかもしれないが、本作もまんざらではない。
表の顔は田舎町のしがない会計士、しかし裏の顔は凄腕の暗殺者。
クリスチャン・ウルフが悪を討つ!
この主人公のキャラが面白い。
会計士としては超優秀。
数字に非常に強く、15年に及ぶ帳簿をたったの一晩で調べ、不審な金の流れを見つけ出す。
暗殺者としても超一流。
長距離でも百発百中の射撃、格闘スキルも抜群。無駄無く、殺した相手にも念押しでトドメを刺す完璧主義。
ザ・プロフェッショナル!
その一方で、コミュニケーションが苦手。
顧客とも必要以上の事は話さず、相手と目を合わせられない。
性格は超几帳面。
重度の自閉症だった幼少時。
将来強く生きる為、軍人の父から受けた厳しい鍛え。
超人的な人間になったものの、今も心の病を抱え、荒療治とも言える生い立ちは彼にとって良かったのか否か。
単なるヒーローではない、複雑な内面も浮かび上がらせる。
ストーリーは…
大手電子機器メーカーの不正を掴むが、調査は突然中止、命を狙われ始める。
主人公の過去を挿入しつつ、財務省の分析官が主人公の正体に迫っていく。
ストレートな陰謀サスペンスとして面白いっちゃあ面白いが、ちょっとお堅い。
しかし、
財務省長官がかつて担当した事件とクリスチャンとの繋がり、幼い頃共に訓練を受け育った弟、クリスチャンが稼いだ金の寄付、唯一コンタクトを取るスマホの“声”の主…。
前半の謎や伏線の、中盤から後半へかけての回収が見事。
多少強引ではあったし、最後はスカッと痛快な最強会計士無双ではなかったものの、あれはあれで良かった。
今回は、クリスチャン・ウルフは何者か。
彼の次なる暗躍が見たくなった。
「グッド・ウィル・ハンティング」でブレイクと共にオスカー脚本賞を受賞、「アルマゲドン」「パール・ハーバー」「デアデビル」など大作に出演するも一時期低迷、監督の才を発揮し「アルゴ」で作品賞を受賞…山あり谷ありのベン・アフレックに、新たな魅力作が誕生。間違いなく、バットマンよりハマってた。(あれもそう悪くはなかったけど…)
数少ない協力者に、同メーカーの女性経理係。
色恋ははっきりとは描かず、次第に心を通わせ、仄かに惹かれ合う…に抑えた点に好感。
演じたアナ・ケンドリックがやっぱりキュート! 硬派な作品の中で癒しの存在。
続編作られたら、彼女もまた出て欲しいな♪