ハドソン川の奇跡のレビュー・感想・評価
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アメリカの正義とは。
少し単調だが、感情描写も映像も素晴らしい
現役最高齢クリント・イーストウッド監督作
「ハドソン川の奇跡」(原題 Sully)鑑賞レビュー
なお、このレビューは主の主観です。
良かった点
・ノンフィクション映画な為、起承転結の結が分かってしまっているというハンデがありながらも、機長達の感情描写によってそのハンデをほとんど感じなかった。
・パニック映画ならではの緊張感は映画館の大スクリーンと音響によって最大限に発揮されており、家庭では味わえないものだった。
・本物のエアバス、救助ボートも実際の救助に使用されたもの、オペレーターも同じスタッフを動員、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させているからこそ感じることのできるリアル。
・サリー機長の葛藤、国家運輸安全委員会からの疑いの眼、シミュレーション対人間などの様々な感情が観客にヒシヒシと伝わる。
悪かった点
・ほとんど無いが強いて言うなら、邦題は機長自身が
「奇跡と呼ばないでくれと」言っている為、「ハドソン川の奇跡」よりも、原題の「Sully」の方がいいと思った。
・良くも悪くも、感情描写でストーリーに厚みは出ているものの、やはり単調で少し物足りず、興奮は少なかった。
(ただ、この点は人によっては「安心して見れる」という良かった点になる為一概に悪いとは言えない)
総評
ほとんど悪かった点はないのですが、自分的には興奮要素がもう少しあれば文句なしです。
イーストウッドのリアルへの凄まじいこだわりは映画館という環境が最適なのだと感じる映画で、映画館で見て良かったと全力で思えました!
ですので、星5から悪かった点を引いて4.5をつけさせていただきます!
レビューを見てくれてありがとうございました。
長文失礼します。
珍しくスカッとした映画
良かった
結末がわかっている
仕方のない「ハドソン川の奇跡」
160本目‼︎ 英雄か?ペテン師か? 自分を含め 155人の命を救...
自分なりのベストを尽くせ
2009年1月、乗客155人を乗せたUSエアウェイズ
1549便が、ラガーディア空港を離陸した直後に
両エンジン停止。“サリー”ことサレンバーガー機長は
ハドソン川への緊急着水という離れ業を成功させ、
さらにそのわずか24分後には沿岸警備隊とNY市警
によって乗客全員が救出された。
“ハドソン川の奇跡”として日本でも大きく報道された
この出来事。報道を聞く限りは美談と思っていたが、
まさかその後でこんな不穏な出来事があったとは。
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航空会社と保険会社の人間によって構成される
事故調査委員会は、サリー達に疑いの目を向ける。
『ハドソン川への着水という危険極まりない賭け
をせずとも安全に着陸できたのではないのか?』
左エンジンがまだ動いていた可能性、
コンピュータによる着陸成功の試算、
それらがサリーの心を追い詰めていく。
未だに夢に見る事故時の恐怖、
自分の決断は本当に正しかったのかという不安、
そして、もし“英雄”から“偽の英雄”に世評が傾けば、
職務も家族も全て失ってしまうという憂い。
「42年間の経験がたった208秒の決断で疑われる」
正しいのは42年間の経験による判断か、それとも
機械が弾き出す冷徹無比のシミュレーションか。
事故の恐怖の記憶から始まる冒頭から、
サリーが仕掛けた最後の賭けまでの96分間、
僕は固唾を呑んでその様子を見守った。
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『ああすれば良かった』『こうすれば良かった』
という言葉は、事が起こった後であればいくらでも
口にできる。そもそも人は、己の望む結果が
出るよう恣意的に物事を考えがちなものだし、
事情を事細かに知らない第三者なら尚の事。
だが実際に現場に出くわした人間は違う。
事故の瞬間、刻々と悪化し続ける状況を
目にしながら、パニックに飲まれることなく
冷静にベストな判断を下すことができるか。それには
豊富な知識と経験に裏打ちされた強い精神が必要になる。
それに、あの機長の場合は着陸に成功したけれど、
何がベストな判断かなんて本当は誰にも分からない。
大事なのはとにかく、自分なりのベストを尽くすこと。
最も困難で奇跡的な業をやり遂げたのはサリーだが、
冷静にサポートした副操縦士や搭乗員たち、
そして身も凍るような川の上からわずか24分で
155人の救助に成功したという沿岸警備隊や
NY市警の人々もまたプロフェッショナルだ。
各々が自分の職務に責任とプライドを持ち、
各々が自分なりのベストを尽くした。
それが完璧に合致したからこその奇跡。
神様ではなく、人間が自ら起こした奇跡だ。
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イーストウッド監督は見事というか流石というか、
こちらの感情を終始揺さぶるドラマでありながら、
語り口自体は清流のように澄んでいて淀みが無い。
シンプルかつ豊穣。どのシーンにも無駄が無いのだ。
例えば、あの不時着を振り返るシーンは正味3度も
繰り返されるにも関わらず、シーンの負う意味が
毎回変わるので、飽きるどころか毎回スクリーンに
目と耳を釘付けにされる。
事故に対処した側だけでなく、乗客達の心情をも
さらりと切り取って魅せる辺りも、さりげなく巧い。
サリーを演じたトム・ハンクスも自然体で良いね。
実直で家族想いな彼からは、突然“英雄”になったこと
への戸惑いと苛立ちがストレートに伝わってくる。
副機長スカイルズを演じたアーロン・エッカートも
思いを共にする一番の味方として存在感を発揮。
最後の台詞もグッド(笑)。敵も味方も後味爽やか。
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この映画は、
あの出来事が偶然もたらされた奇跡なんかではなく、
自らの職務に誇りと責任を持つ者達が、己のベストを
尽くしてたぐり寄せた奇跡だった事を教えてくれる。
完璧かどうかは分からなくても、とにかく必死に
自分なりのベストを尽くすことが大事なのだと、
そう言われたような気がする。
にしても、こういう映画を作れるイーストウッド監督
自身もまたプロフェッショナルな御方だと思う今日この頃。
さりげないけど、凄い映画。
<2016.09.24鑑賞>
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余談:
レビュータイトルを大好きなFoo Fightersの曲
『Best of you』にしようとしたが、まあ
知らない人は何のこっちゃなのでやめた
(それにバリバリのロックだから映画の雰囲気と違うし)。
けどサビの歌詞がホントにピッタリなんすよ。
未聴の方はぜひ歌詞検索されたし。
イーストウッドってなんなん?!
イーストウッドってなんなん?!
これが観終わった直後の率直な感想である。86歳である。年齢と作品のギャップというか、最新作が代表作になるという典型である。
「ミスティック・リバー」を撮ったときも、「ミリオンダラー・ベイビー」を撮ったときも、硫黄島2部作を撮ったときも、「グラン・トリノ」を撮ったときこそ、これぞエポックだ、もうあとは衰退する、何度思ったことか。
撮るスピードが早い。実はキャリアがほとんど途切れていない。監督作でさえ3年あくのがまれである。それでいてアクション中心からだんだんと人間ドラマにシフトチェンジしていった感じである。
本作は、多くの人に是非観てほしい。それに尽きる。
少し鼻白むかもしれないが、人の善意がこんなに美しいのか。そんなことを思わせてくれる傑作である。
イーストウッドの大ファンです
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