「機長の凄み」ハドソン川の奇跡 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
機長の凄み
飛行機のトラブルに際して機転を利かせて不時着し、乗客を守ってハッピーエンドという単純な話なのかと思っていた。しかしどちらかと言うと、調査会社に事故時の対応について問責される機長の苦悩に重点を置いて描かれている。最善を尽くしたのにもかかわらず、問責される彼の心情は察するに余りある。大衆には英雄扱いされるが当人は裏で苦悩するというテーマは、『父親たちの星条旗』のイーストウッド監督らしい。
飛行機のトラブルから脱出までの描写も迫力がある。短い時間でどのように対処するか決断を下さねばならない。また、ハドソン川に着水後も、機内への浸水により溺死する恐怖があって油断できない。そのようなトラブル時など普通は頭が真っ白になるはずだが、状況を冷静に認識して的確な判断を下す機長の凄みが伝わってくる。
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