「神の視点を得たとて」アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
神の視点を得たとて
ドローン攻撃にてテロリストを抹殺する話
作戦本部とコントロール室と会議室を舞台にドローン攻撃の是非を問うのだが、凄い緊張感と臨場感でピリピリした雰囲気を上手く描いていた。
少女の命かこれから起きるテロ被害者の命かを天秤にかける選択は誰もが避けたくなる。
戦争ではそんな非情な出来事が多発していると突きつけられる映画だった。
圧倒的優位に立ちながらも攻撃の出来ないじれったさや、少女を救う方法を模索するも解決策が上手くいかない歯がゆさなど、ドローン攻撃のリアルが知ることができた。
また、判断を下す人間の苦悩が伝わってくる。
ドローン攻撃は卑怯だ、安全圏からゲーム感覚で爆弾を落とすなど、いいイメージが無いが、操縦する兵士、指令を出す大佐、許可する官僚などだれもが命と向き合っていた。
卑怯だとかの話の前に戦争を起こさないようにしなければと思った。
いくらハイテク装備を駆使しても、救えない命、神の視点で物語は進むが人間の無力さも叩き付けられたように思う。
もしかしたら、神様もこんな風にもどかしく思いながら地上を見ているのかも知れない。
自分がこの状況ならばどうするだろう、どちらにしても後悔する選択を前にして引き金を引けるだろうか。
多分、引くだろう、そして一生言い訳を考えて無理やり納得して悩み続けるだろうなと想像してしまった。
アランリックマンが「決して言ってはならない、彼らに戦争の代償を知らないなどと」と最後に言う。
戦争は悲劇しか生まない、軍人は悲劇の数を減らすのが仕事なのかも知れないと思った。
この映画に似て非なる作品「ドローン・オブ・ウォー」もおすすめ
ドローンパイロットの苦悩とCIAの非道さが見れる。
こちらの作品は民間人だろうが標的の近くに居ればかまわず爆撃する。
判断はしないし命令のままに引き金を引くのだが、段々すり減っていくパイロット役をイーサン・ホークが熱演している。
二つの映画は米国と英国で立場が違うので何とも言えないが、「アイ・イン・ザ・スカイ」は責任を取るのは誰か、法律は犯してないかを気にして作戦の苦悩を表し、「ドローン・オブ・ウォー」は責任がない事に苦悩する。
二つ合わせて見ることで、ドローン戦の今が見えてくるかも知れない。
劇中セリフより
「待てるが、待つ必要はない」
時間が有るなら最後まで粘りたいと思った。