劇場公開日 2016年6月11日

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「●文化の違い。目線の違い。」裸足の季節 うり坊033さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0●文化の違い。目線の違い。

2016年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

クライマックスの夜から目覚めるシーンは夢か現実か。音楽が幻想的で素晴らしかった。サッカー観戦の爆発的な弾けっぷりはもう最高!5人姉妹のキラキラが眩しい。
だが、光の裏には影がある。こんなに考えさせられる作品も珍しい。

決してトルコの片田舎の話でなく、これがこの国の女性たちのリアルなのか。少女たちがキレイで若すぎるのは、慣習への抵抗をすこしでも明るく健やかに表現したかったのだろうか。これが鑑賞直後の率直な印象。皮肉でなく。男女の目線の違いもあるのだろうけど。鑑賞後、その場で頭を抱える海外の男性がいたのが印象的だった。

観終えてから背景を知る。15歳以下の少女の強制結婚は世界で毎年1,400万人以上。インドとイスラム教国が大半を占める。伝統や慣習、貧困がその理由だという。そして、イスラム法では女子は9歳で大人扱い。ちなみに同法は結婚以外の性行為を認めていない。
冒頭、海辺のシーンからの家族の罵倒は、監督の実体験。まったく反抗できなかったという。だから監督は少女たちをヒロインにしたかった。ラーレは自身の理想像だと。

叔父はその名のとおり、エロルだ。人非人。祖母も自分が通って来た道だ。男たちよりは理解があるけど、伝統や慣習には従順だ。こうして村社会は守られる。籠の中の鳥は「Mustang(野生馬)」を夢見て抗う。
人は育ってきた文化や環境が当たり前だと思ってしまう。とはいえ、ヤシンのような青年や「行かせてやれ」という男性もいるのは救い。世界は広い。自分の道を切り開いたラーレに、明るい未来が待っていることを切に願う。

うり坊033