「人間という生き物の、消せない業の深さ。」さざなみ 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
人間という生き物の、消せない業の深さ。
♪男と女の間には~深くて暗い~川がある~
と、野坂昭如の歌声が頭に浮かんで消えなくなる一本。
そして。
♪誰も渡れぬ~川なれど~エンヤコラ今夜も舟を出す~
その先にある行く末を、主演のシャーロット・ランプリングとトム・コートネイの二人によって見せ付けられる、なんとも言えずに唇をかむような歯がゆさ。
二人の演技が文句なしに素晴らしいが故に、生々しく迫る「突きつけられる刃先の丸くなった刃の不快感」。
映画としては素晴らしい、けれど人にはお勧めし難いこの不穏な空気。
共に過ごした時間をどれだけ積み重ねようと、たった一つ投げ込まれた石で泡の様に一瞬で消え去る、消し去ることのできる人間という生き物の危うさ…
ラストの、あの男から見たら恐怖でしかない演出、そして気づかぬ阿呆といったら…
嗚呼、なんとも自分好みの「意地悪映画」なんだ、コレ!涙
絶望度は「偽りなき者」には及ばないけれど、軽く人間嫌いになりたいときにはお勧めしたい一本。
男と女とは、どこまで行っても「同一ながら別種の生き物」なんだよ…
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