劇場公開日 2016年6月17日

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「恐ろしい」帰ってきたヒトラー みんもさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0恐ろしい

2020年10月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

見始めは不愉快でしかなかった。ヒトラーをコメディにする? 彼の残虐な部分を隠し、アイコンとしてコメディにする? ドイツでは未だに当然ながらセンシティブな話題であり、よくこれが制作できたなと驚いた。

だが中盤から後半にかけて、物語は微妙に色合いが変わってくる。EUにあってメルケル政権下のドイツは積極的に難民を受け入れている国である。増え続ける難民、移民にドイツ国民の不満が高まっている。ヒトラーがドイツ各地を回り、国民の不満を聞いていくドキュメンタリー調の映像は、実は真実を捉えているのである。ヒトラーはその不満を巧みに突く。そして、TVを通じ、民衆の支持を得ていく。因みに、現ドイツの移民政策は、ナチス時代の反省のもとに採られている。

おそらく、この映像を観たドイツ国民は、ヒトラーが焚き付けるアジテーションにどこか説得力を感じ、空寒さを覚えただろう。1933年当時もそうだったのである。ヒトラーは民衆の支持を受け、かなり裏工作をしたものの、選挙を経て政権に就いた。
この映画はただのコメディではない。毒気を含んだ強烈な風刺映画である。

みんも