「お節介?いやいや。無自覚な自己中でしょ。」マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
お節介?いやいや。無自覚な自己中でしょ。
そこはかとなくもやもやが残る作品。
ニューヨーク、グリニッジビレッジの風景は素敵、
マギーの服装、リリーとマギーの幸せ母子シーンも素敵。
役者は楽しそうに生き生きと演じているし、演技合戦も楽しい。
でも本筋は、肩透かしというか、論点がずれてる感じがして、いらいらしました。
あらすじはこんな感じです。
マギーは子供が欲しいが、男とは続かないので、友人から
精子提供を受ける予定。
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そんな折にジョンと出会って意気投合
ジョンは格上妻の尻に敷かれる日々を呪い、
小説を書きたがっている未成熟中年。
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友人ガイの精子をスポイドで自ら注入していたら、
ジョンがやってきて好きだと告白、マギーも告白してベッドへダイブ。
↓
ジョンの娘を産み、ジョンは離婚してマギーと再婚。
でも小説は完成も出版もせず、家事育児しないジョンと、
ジョンの子供たちの面倒も見て、てんてこ舞いのマギー。
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鬼嫁だと思っていたジョーゼットが知的で素敵な女性と知り、
うまくいかない結婚を精算するためなのに、
愛し合う2人をモトサヤにしようと、マギーはジョーゼットに
ジョンとよりを戻さないかと持ちかける
↓
ジョンは2人の策にまんまとはまって、ジョーゼットとヤる(バカすぎ)。
↓
女2人に手のひらころころされているとは知らず、
悲劇のヒロインよろしく嘆くジョンは
ジョーゼットとよりを戻そうとするが、
成り行きで訪問したマギーの友人宅でジョン返還計画を知ってしまい、
怒りくるって姿をくらます。
↓
マギーはお節介を反省。
ジョーゼットとはより仲良く。
ジョンは結局ジョーゼットとよりを戻し、
マギーは娘リリーとジョン&ジョーゼット一家と仲良しに(意味わからん)。
その上、リリーはなんだか数字が好きみたい。
あれあれ、精子提供してくれたガイは数学専攻よね?
皆がいるスケート場にガイもやってきた?
あっれー、実はリリーはジョンではなくガイの子?
それ何のフラグ?うそ、そのままおしまい?!
とまあ、こういう話です。
私のいらいらポイントは、
マギーがジョンにさめたのはわかるが、
その解決作を「ジョンとジョーゼットのため」として実行したことでしょうね。
なんで、小説を書くため大学を辞めたのに、
何年(恐らく2-3年?)たっても芽が出ず、
無職なのに家事も育児も手抜き(前はやってたのに)なジョンに幻滅したから
もういらん、別れたいって、はっきりゆわへんねん!!!!
本当は2人は愛し合ってるからとか、人のせいにして、
自分は「おせっかいだから」って。
おせっかいじゃなくて、自分勝手に無自覚なだけだろーよ。
無自覚な自己中がいっちばん嫌い、なので、そこにいらいらいらいらしました。
悪い子ではないし、精子提供を受ける辺りまでは、
自分に似てるなー、理解できるわーと思ってたから余計に。なにこれって。
コントロールしたがりがよくないんじゃない、
自己中をやめろともいわん。人は自己中なものだから。
ただ自己中を自覚しろ。自己中を人のためのお節介に粉飾するな。
そのように思いました。
ジョンは一緒にいる分にはかわいいと思えるだろうから、
セックスはするかもしれんけど、パートナーにするには未熟すぎる。
どこにでもいるただの男です。つまみ食い程度がいいでしょうよ。
また、結局リリーの製作担当者をガイか?と匂わせるのも意味わからんと思いました。
論点がずれるじゃんよ。ずっこけ話にするつもりか!
蛇足だ蛇足。品がないぜ、とかも思いました。
議論の余地があるいい題材を、もっと掘り下げろよ。せっかく高学歴の登場人物を揃えているのにさ!学者の意味ないやん。
ジョーゼットは、ジュリアンムーアが好きなので、面白いキャラを
楽しそうにやってはるわ、とは思いました。
でも、なんぼコロンビア大の終身雇用教員だからってさ、
食洗機の洗剤の適量もわからんのかい、と思いました。
書いてあるやろ洗剤の容れ物に!
あと、なんでジョーゼットの子供たちはデニッシュアメリカンスクールに
通ってたんでしょうね。ジョーゼットかジョンがデンマーク系なのかな?
辛辣な娘はよかったです。
現代的で議論のしがいのあるテーマを、
うわべだけかすってずっこけ話にしてしまっていて、こっちがずっこける出来です。
やれやれ。