ルイの9番目の人生のレビュー・感想・評価
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『怪物はささやく』に似たテイストの不思議な少年の物語
リズ・ジェンセンによる世界的ベストセラー小説『ルイの九番目の命』を、これまでホラー映画を中心に手掛けてきたアレクサンドル・アジャが監督したもの。
9歳のルイ・ドラックス(エイデン・ロングワース)は、母親ナタリー(サラ・ガドン)と二人暮らし。
これまでの人生で事故に遭ったことは数知れず、死に直面したことも8回ある。
自分では「事故多発症」といっているが・・・
そんなルイの9歳の誕生日、別居していた父ピーター(アーロン・ポール)を交えて一家三人でピクニックに出かけたが、ルイは崖から海へ転落してしまう。
心肺機能が停止した状態で見つかったルイは、脂肪告知がされてから2時間後に奇跡的に蘇生する。
しかし、意識は戻らず、昏睡状態のまま。
主治医は小児昏睡の権威で名医アラン・パスカル(ジェイミー・ドーナン)。
ルイは、昏睡状態の中でも自分の意識はあり、過去の出来事に想いを馳せている・・・
というところから始まる物語で、ルイの無意識下の想いと現在の実時間の出来事が交互に描かれていく、というスタイルをとって映画は進んで行きます。
なので、この語り口についていけるかどうかが、まずひとつの難関。
時制はややこしく、その上、現実の出来事の多くも昏睡しているルイからみた現実という感じもするので、ルイの意識下なのかどうかが判然としないところもあります。
こういった少年のフィルターを通した、現実とも意識下のファンタジーがない交ぜになった映画といえば、近作では『怪物はささやく』を思い出すところ。
テイストは近いが、あちらは少年の成長譚というのが早い時点でわかるのでそれほど混乱もせず、もどかしくもないのだけれど、こちらは主人公の少年ルイが昏睡したままなので、もどかしい。
テイストが似ているといえば、映画冒頭からルイは正体不明の見知らぬ存在と語り合っているのですが、それが海底深くに棲む謎の生物というあたりも、似ているかもしれません。
とはいえ、着地点は『怪物はささやく』とは異なり、ルイの転落事故の顛末のほか、彼のいう「事故多発症」の真相も明らかになっていきます。
結末的には、「なるほど」とも思うのですが、同じようなネタはテレビドラマでもあったかもしれません。
ですが、そこへ至るまでの語り口には、はっとさせられますし、ルイとパスカル医師との精神感応など超常現象的な描写もあり、ここいらあたりは好き嫌いが分かれるかもしれません。
ルイ役のエイデン・ロングワースの不可思議な魅力は印象的、母親ナタリー役のサラ・ガドンもオールドファッションの美人の魅力があります。
彼女の存在によって、はじめ、物語が21世紀とは思えず、50年代ぐらいの話かと思いました。
(あ、もしかしたら、それぐらいの時代の設定の方が納得がいくかもしれません)
なお、本映画は元々『イングリッシュ・ペイシェント』のアンソニー・ミンゲラ監督が映画化を進めていたらしく、脚本は息子のマックス・ミンゲラが担当しています。
誘導
赤ん坊の頃から何度も病気や事故で死にかけた経験のある少年が9歳の誕生日に両親とピクニックに出かけた断崖から転落し、一度は死んだものの蘇生したが昏睡状態となる話。
進行して行くストーリーはタイトルとは関わりなく昏睡状態である少年の夢の中の話や死にかけたこと以外の過去の話と、モテモテの母親の話で、行方不明の父親を絡めて少年の転落事故の真相を追うサスペンスという展開。
過去の話でチラチラみえる事と現在の母親の素行や言動で先が読めてしまうし、流れ的には上手く持って来ているもののサスペンス色が強いのにオチへの流れがオカルトなのはねえ。
何となくそうなるかなとは感じたけれど最後にはタイトルを絡めて良いまとめ方しているし、タイトルやCMで事前にイメージしていたものとはまるで違ったけど、それなりには楽しめた。
不穏な空気と印象的な海のイメージ
不思議な物語だなと
オープニングではルイの今までに遭遇した命の危険が語られ、彼の人生を軽く紹介してくれる。
そこから、現在パートに移る。
崖から落ちて、ルイは意識不明。容疑者の父親は行方不明となり、指名手配とサスペンスな要素が続く。
そこに担当医パスカルが絡んでいくのだが、母親がどこか不穏な空気を醸しだしつつ、パスカルへの距離を詰めていくので、まさしく「男ってバカだな」状態に
最初は意識不明のパートと彼のモノローグで語られる過去がどう結びついて、どういう結末を迎えるのか予想がつかなかったが、“真犯人”については割と早い段階に察せるので、そこのハラハラはない(それでもどのような結末を迎えるのか気になって行くのだが)
彼の過去が明らかになるモノローグパートも彼の家族や彼自身に不穏な空気といか怪しげな雰囲気がずっと漂っているので目が離せない。
そして、パスカルの悪夢や奇妙な手紙から物語は予想外の展開へとシフトする。
パスカルとルイが何故あのような形で繋がり、手紙を書いたり、催眠状態時にはルイの経験を語ることが出来たのかは不透明(納得しきれない部分ではある。そこまでリンクするほど傾倒していたかと言われると?だし、母親の誘惑に負けてるし)だが、そこは置いておくか。
真相としては今までの全ての命の危険は母親が犯人であり、彼も大きくなるにつれ自分から母親の望むように命の危険に晒されにいったというわけで
自分と血が繋がっていながらも、歪んだ愛で繋がった母親と血の繋がりは無くとも真っ直ぐな愛で繋がっていた父親との親と子のドラマだとまとめればいいだろうか?
そこにどこかファンタジーというか不思議な要素が加わり、物語を盛り上げていると言えばいいかな?
あとは海のイメージが印象的(落ちた場所やクラゲのイメージ、シーワールド、“愛してる“の時に言ったセリフ、そしてエンディングの曲)
全て分かった上でのラストの父親とのシーンは愛を感じる良い場面でした
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