「クラゲのような人生」ルイの9番目の人生 maruさんの映画レビュー(感想・評価)
クラゲのような人生
なににも誰にも干渉されず、海を漂うだけでいい。年端のいかぬ子どもが,そんな9番目の人生を最高だと思ってしまったのは、深い絶望のせい。それでも最後は眼を覚ましてくれて、子ども(=未来)を生き返らせてくれたのは、映画としてよかった。
医者とルイの意識をコネクトする場面も単なる場面転換のための演出ではなく、医学的な見地からも興味深いところ。随所に本当の知識がちりばめられている。SFチックな空想のシーンもそれで説明がつく。
ただ、もう開始40分したら(あー母親だな)っていうのが、わかる。子育てにおいて“母性”より“女性”が勝っている人は、自分を優先させがち。子どもを大事にしてるようで、自分でコントロールしたがったり、自分の思うように育てたがる。あんなセクシーな格好で、男群がられるし、0歳のときの事故なんて母親ならベビーベッドを落下の危険性のある照明の下になんか絶対に置かない。そっからスグにわかった。
医者もバカ過ぎる男だし。回想シーンのルイの父親の振る舞いは、どれもが人格者に見える。こんなにも早くネタバレするならもっと時間をギュッとしてもよかったかもしれない。
しかし、オチで精神病棟にいるルイの母親が子どもを身ごもっていた意味がよくわからない。医者との子どもなのか、精神病棟内で新たに関係を持った男との子どもなのか。カルマは繰返されるとでもいうのか。カルマから抜出すまで、こんな愛の形が続くというのか。
本映画が、なにを伝えたいのかは、わからなかった。でも、最後の父親とのルイの会話のシーンは、ルイの子どもらしさが垣間見えて、感動した。
「子どもが子どもらしく」いられるように親は、努めるべきなのかもしれない。泣いて笑って怒ってを素直に出し切れるように、感情を育てるのが親の役目なのかも。