「アカデミー主演子供賞があればいいのに」ルーム うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
アカデミー主演子供賞があればいいのに
ブリー・ラーソンがオスカーを獲得したことで注目された映画ですが、かなりの変化球です。
普通なら、女性が拉致されるところから映画が始まって、レイプされた挙句に、監禁され、その子を産み、特殊な環境で子育てをしながら、脱走するすきを窺うという、サスペンス仕立てのお話になるところを、全部すっ飛ばし、狭い部屋での生活で、そこから一歩も外に出ずに育った男の子と母親の異常な環境と、徐々に明らかになっていく母子の状況。そこにフォーカスして映画が進んでいきます。
どうやら犯人でもある、父親らしき男は何とも微妙な立場におかれ、子供を大事にする母親の前には、暴力による支配も効かないようで、不思議な同情心さえ感じてしまいます。
いちばんの見どころは、男の子のとても自然な演技です。本当にこの狭い部屋以外の世界を知らずに育ったとしか思えないような振る舞いで、これが演技なのだとしたら天才としか言いようがありません。
わりと短めの映画本編の中で、とても異常なシチュエーションが簡潔に示され、無事救出されるのか、目を離せません。実際にあった事件をもとに映画化したかのような、リアルな演出でした。
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