「母子の物理的な量子空間👏」ルーム ヒックス伍長さんの映画レビュー(感想・評価)
母子の物理的な量子空間👏
クリックして本文を読む
どんな動物でも、産まれた瞬間から物心つくまで育った比較的限られた空間と、そばに四六時中付きっ切りの母親しか居ない状態で過ごせば、これはまさに、劇中前半で語られる通り、子は、「世界はこの部屋、実在する生き物はお母さんのみ」と思い込むのは当然の成り行き。
ある意味、隔離された閉塞感の中で日常を送った場合の、外界との間に生まれるズレは浦島太郎の玉手箱とも言うべき、いわゆる相対性理論で説明されてもおかしくない現象なのではないだろうか。
物語の後半は、まさにそのお話であり、今までの誘拐、脱出もの作品における「隔離された場所から逃げ出すサスペンス」が焦点ではなく、いかにして奪われた時間を取り戻していくかに重点を置いた人間ドラマなのだ、ということを痛感させられる作品。
ラスト、息子は監禁されていた部屋に再度訪れ
「こんなにせまかったっけ?」
と、不思議がり、イス、ベッド、クローゼットひとつひとつに別れを告げ
「ママもさよなら言って」
と声を掛けて、そして母も小さくさよならと呟いて、部屋を後にした…👍
そこから二人の去っていく後ろ姿を引きの長回しで撮って終わるシーンは
「奪われた時間。だけど過去は過去。今は今。過去の時間を糧に今を取り戻そう」
個人的にはそう捉えた。
母子の決意はある意味、物理法則を超えたのだ👏
コメントする