「ニュースのその先」ルーム 奥嶋ひろまささんの映画レビュー(感想・評価)
ニュースのその先
僕らがテレビで見るニュースでは犯人が捕まりました。そこまでしか分からないけど、被害者やその家族がそこから再生して行くことの大変さと、事件の解決などないと言う事が丁寧に描かれていたと思う。
狭い部屋での生活。そこから抜け出して、幸せなはずが何か居心地が悪い。
自分は被害者のはずなのに子どもにとって間違った選択をしたかのように責められ、自分の気持ちを分かって貰える人もおらず、両親は離婚し現実を受け止められず…と、犯人が捕まって「あぁ良かった…」なんて簡単に片付く問題じゃないんだなと、これからニュースの見方が変わるような映画だった。
7年も監禁され狼狽する母親の気持ちはとても分かる、あんなに地獄のような生活だったにも関わらず、息子と2人だけの方が幸せに感じだしたのではないだろうか?
命を絶とうとした事も自分勝手とは思わなかった。
全編暗いトーンだけど、息子の純真さが救ってくれる。子どもの純粋無垢な心に救われ、少しずつ適応して行く力強さに心が温かくなった。
子どもにとっては場所ではなく親と一緒にいる事が大切と言う演出も親としては確かにそうかもなと思った。
演技もとてもリアルでちょっとした仕草も本当に初めて世界を知ったかのようで素晴らしかった。
ラストカットには部屋から出て想像の世界から現実へ2人で前に進もうという意味が込められてると思うのだけど、それと同時に再生への困難な道を暗示してるようにも思えた。
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