「実は凝った映画なのでは」ルーム eager_beaver_さんの映画レビュー(感想・評価)
実は凝った映画なのでは
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面白かった。非日常性における親子愛、というのもひとつのテーマだと思うけど、本質としては別なことを感じた。
と思う。閉鎖された空間で、母以外に他人が存在しない「部屋」から「無限に広がる世界」へと日常が変化することが、子供にはどう見え、聞こえるか、が巧みに表現されている。
さらには五感だけでなく、演出によって「子供なりの理解力の限界」をもあらわしていて、それを考えると、脱出劇のあっけなさや、大人の会話が示唆にとどめているもの、あるいは話途中で終わっていたりする事柄のような、普通に見てたら中途半端に見える展開にも納得がいく。部屋における監禁は、子供なりの大きさや広さの感覚と、その後の柔軟性を主観的に見せる、という対比を作り出すための設定に過ぎないとさえ思えてくる。
とはいえ、終盤だけがいわば「ばあば(Grandma)の視点」にやや寄っていて、そうすることで子供の成長を実感できるというこの映画におけるカタルシスを得たり、“あの一言”で感動したりすることができるので必要と思うけれど、子供視点を完全に貫いたら別の面白さがあったかも。
ラストシーンでは母親がかすかに発する「さよなら」の声はたぶん子供には聞こえてなく、そこが唯一の母親の視点であると思うのだが。
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