「穴だらけの脚本を、圧倒的な演出力と映像美で補うストロング・スタイル!」君の名は。 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
穴だらけの脚本を、圧倒的な演出力と映像美で補うストロング・スタイル!
立花瀧と宮水三葉、不思議な縁で結ばれた2人の運命を描くボーイ・ミーツ・ガールSFアニメ。
監督/原作/脚本/撮影/編集は『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』の、日本を代表するアニメーション監督・新海誠。
都内で暮らす男子高校生、立花瀧を演じるのは『千と千尋の神隠し』『サマーウォーズ』の神木隆之介。
糸守町で暮らす女子高生、宮水三葉を演じるのは『舞妓はレディ』『ちはやふる』の上白石萌音。
瀧くんのバイトの先輩、奥寺ミキを演じるのは『モテキ』『海街diary』の長澤まさみ。
三葉の同級生、勅使河原克彦を演じるのは『残穢 -住んではいけない部屋-』『ONE PIECE FILM GOLD』の成田凌。
新海誠監督の過去作『言の葉の庭』のヒロイン、ユキちゃん先生がゲスト出演しており、声優も引き続き花澤香菜が担当している。
第40回 日本アカデミー賞において、最優秀脚本賞を受賞!
第42回 ロサンゼルス映画批評家協会賞において、アニメ映画賞を受賞!
全世界興行収入3.6億ドルという、言わずと知れたメガヒット作品!
新海誠監督の名前を広く世間に知らしめた一作でもあります。
新海誠作品に苦手意識がありリアルタイムでは鑑賞しなかったのですが、何気なく観た『天気の子』が素晴らしかったため、この作品にもチャレンジ!
初見とはいえ話の筋はほとんど知っているという完全ネタバレ状態で鑑賞したのですが、それでもとっても楽しめました♪
いやぁ…。そりゃこれは売れるわ…。凄いクオリティ✨
新海作品特有の繊細な映像美はそのままに、天才作画監督・安藤雅司を筆頭にした一流アニメーターたちによる丁寧で説得力のあるアニメーションが、画面狭しと躍動する。
これぞまさに、日本アニメの面白さそのものっ!
声優陣の熱演も見事。
神木隆之介の表現力もさることながら、長澤まさみが上手すぎて、エンドクレジットを見るまで本職の人かと思ってました。
何より故・市原悦子さんの落ち着いたボイスが心地ええ…。
そしてここぞ!という最高に気持ち良いタイミングでRADWIMPSの音楽が挿入!エモい…🫧
脚本には既存のエンタメ要素がこれでもかというぐらい詰め込まれており、まぁ多少の節操の無さは感じるものの、非常に楽しい♪
ボーイ・ミーツ・ガールに男女の入れ替わり、タイム・リープにミステリー、パニック映画要素までありますからねぇ…。これは娯楽要素の宝石箱や〜💎✨
正直、脚本は突っ込みどころ満載であります。
流石に3年のタイムラグには気付くだろ、とかね。
特に葛藤なく三葉に協力するテッシーとサヤちゃん、とんでもない規模の爆薬で変電所ぶっ飛ばすトンデモ展開、重要人物かと思いきやほとんど話と関係なかった三葉のパパ&おばあちゃん。等々…。
ツッコミだらけの脚本ではあります。しかしそれがあまり気にならなくなるほどのスピーディな展開!とんでもないクオリティのアニメーション!!そしてアツアツな物語の熱量!!!
いやー、観ていて心地良かった♪
…まぁ、脚本の粗が気になって映画にノレなかったという人の気持ちもわかるけど😅
クライマックスのシーン、これまでの新海作品を観ている人なら「どうせすれ違ったまま終わるんだろ?」と思った筈。
ところが、それを裏切るハッピーエンドでの大団円!いやぁ、気持ち良い!
やっぱり青春アニメはハッピーエンドが大事だよー。
これまでの新海作品とは明らかに狙いが違う、非常に大衆的な作品。
『君の名は。』以前の作品が好きな新海誠ファンも多分に存在していると思うのですが、個人的にはエンタメ思考にシフトした新海作品の方が好き💕
頭を空っぽにして楽しめる、非常に優秀なエンターテイメント・アニメです✨