「「中身スッカスカの毒入りケーキを表面だけきれいにデコレーションした感じ」」君の名は。 runsさんの映画レビュー(感想・評価)
「中身スッカスカの毒入りケーキを表面だけきれいにデコレーションした感じ」
この映画を率直に一言で言うと、「中身スッカスカの毒入りケーキを表面だけきれいにデコレーションし、みんなそれを「おいしいおいしい」と言って食べた」という感じに思います。たぶん多くの人は表面的なきれいさに騙されて、なんとなく乗せられて感動したような気になってしまったんじゃないでしょうか。でも中身はスッカスカの薄っぺらいストーリーで、所々の表現にはとてもえげつなさ(これが毒の意味です)を感じました。
私はこの映画をタダ券で見に行ったにも関わらず、見終わった後の損した感が半端じゃなかったです。時間と心の浪費間を返してほしいと思いました。どっと疲れました。
CMを見た時からつまらなそうだなとは思っていたのですが、大ヒットしているようだし少しは期待できるのかなと思って見に行ってみたのですが、その淡い期待さえ遥かに凌いで酷かったです。
あるSNSのユーザーが、「この映画や「STAND BY MEドラえもん」を面白くないという奴はひねくれているだけだ」と言ってましたが、それは完全に偏った見方による勝手な決めつけだなと思いました。
私は「STAND BY MEドラえもん」は普通によかったし泣きましたよ。
「アナ雪」もかなり泣いたし「この世界の片隅に」もかなりよかった。
でもこの映画は本当に残念でした。
まずストーリーに関しては本当に誰でも作れるような素人的なつまらないものでした。
意外性ゼロです。
そして何より気になったのが気持ち悪い描写の数々。
ほのエロぐらいなら私も気にしませんよ。でもけっこう気持ち悪いぐらいにエロい描写が多かった。毎度毎度胸を触るとかけっこう笑えないし、バスケのシュートの後やたら胸が揺れるとか、先輩の浴衣のはだけ方とか、全部上品なエロじゃなくてけっこうえげつなさが見えるエロなんですよね。ほんとそれが気持ち悪かった。
レストランでクレーマーが先輩のスカートを切り裂くシーンも凄く下品で嫌でした。その後の裁縫エピソードを入れたかったにしても、すごく嫌な感じのするシーンでした。こういうの、作り手の性格が凄く出てると思います。
他にも口噛み酒というのも本当にあるようですが、これも完全にこの監督の性的嗜好なんだろうなという感じがしました。
正直この辺りの表現は完全に監督の性的趣味を都合のいいストーリーで包むことによって正当化して表現しただけなんだろうなと思います。
女性キャラもあまりにも男性目線で都合のいいキャラに作られています。
まず三葉っていうヒロイン、不自然な程個性というか、キャラがないですよね。あまりに従順というか、主人公の思い通りの言動しかしないという感じです。普通胸を触られたらもっと怒ると思いますけどね・・あまりにおとなし過ぎるんですよね。
先輩のキャラはきれいでかっこいい系という感じで、キャラ設定は悪くなかったと思うんですが、最終的にただの都合のいいお色気姉さんですよね。
そしてこのダッサくてキモイ、さえない主人公が、かわいい系ときれい系の女子二人から好かれるという所が完全に都合のいい設定です。これもおそらく監督がこの主人公に自身を投影して欲求を満たしたかっただけなんじゃないかなという感じです。
特に主人公のキャラは本当に気持ち悪かった。見た目もだけど性格。普段は煮え切らない感じだけど、いざという時正義感を発揮するみたいな感じが今の風潮には受けるのかもしれないけど、そこもほんと都合いいしむしろ普段ウジウジしてるクセにおいしい所だけは持っていくみたいな感じが本当に気持ち悪かった。
作画は別の人ですが、漫画の「ほしのこえ」というやつも大体同じような印象でした。話はとても薄っぺらく、ヒロインはやたら従順でエロ描写が多い。
映像のきれいさはありましたよ。でもこの人の欠点は、「全てをやたらキラキラさせ過ぎること」だと思います。
要するに全ての映像を常にキラキラさせ過ぎて、メリハリがないんですよ。
だから最も映像や物語を盛り上げたいであろう場面であまり映像が際立たない。毎日が誕生日状態なんですよ。もっとメリハリをつけた方がいいと思います。
そしてラスト・・始めからこの「君の名は。」というタイトルからしてすごく安っぽい感があったんだけど、終盤何度も何度も「君の名は・・君の名は・・」と連呼することで更にこれでもかというくらい物語の安っぽさに拍車を掛けています。苦笑でしたね。
本当映画が長すぎて終わる40分くらい前から「早く終われ、早く終われ・・」と思ってました(笑)
前前前世ももううんざり・・。
随分辛口にコメントしましたが、大成建設CMの高跳びのやつは嫌いじゃなかったです。なので個人的にはそういうCMとかの映像だけ作ってればいいのに・・という印象です。
他の方もけっこう言ってましたが、これで泣いたとか感動とか・・正直日本の将来かなり不安です。申し訳ないけどかなり騙されやすい人達なんじゃないかなと・・。純粋に自分の感じ方でよかったっていう人ならまあそれでいいと思いますが、無意識のうちに前評判や映像の煌びやかさ・新しさに乗せられてっていう人は相当流されやすいかな。TVとかの感想は相当操作されてますしね。
商業的に作られたものが必ずしも悪いとは思いません。おもしろければいいと思います。ラピュタとかカリオストロとか単純におもしろいと思います。だけどこれは駄作以外のなにものでもなかった・・そう感じます。ジブリと比べるなど失礼千万。