「世界を覇権する日本製アニメの金字塔」君の名は。 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
世界を覇権する日本製アニメの金字塔
見始めてすぐに、その素晴らしさに「風の谷のナウシカ」を見たとき以来の大きな衝撃を受けた。日本のアニメーション界に大きな金字塔を立てる作品であると同時に、世界へ打って出て大きな勝利が得られる作品との確信が、見終わってすぐに得られた。
何がそれほど素晴らしいのか?
第1に、メインキャラクター達の表情等、絵的設計が素晴らしかった。男っぽさとワイルドさも相当に備えた立花瀧の作画は、神木さんの声も相まって日本のアニメ史上最高!?の格好良い男の子に思えた。ヒロインの宮水三葉さんの表現も、可愛らしさと真っ直ぐさにコミカルな感じも加えられ、とても素晴らしかった。そして、何よりも、三葉が入った瀧君は、優しさに仄かな色気もある上に神木さんの演技賞ものの声の表現も加わり、今まで全く見たことが無い魅力的なキャラクターとなっていた。瀧の先輩の奥寺ミキさんが好きになって忘れられなくなってしまったのも納得できた。キャラクターデザイン担当の田中将賀さんの類い稀な才能に、深海監督の演出と安藤作画監督の解釈に才能有る俳優陣の表現が加わり、素晴らしく魅力的なメインキャラクターが創作されたことに、大きな拍手をしたい。
次にやはり、新海監督の特徴である景観の美しさに、安藤さんの参加もあってか、さらに深みと凄みを感じさせた。都会と田舎を交互に見せ、そこに心象的要素も入っていて、とっても魅力的であった。通学路、三人で降り立った飛騨の駅、神社の神楽殿、そしてカルデラ湖と外輪山。それと対照的な、瀧のマンションから見える東宮御所?さらに赤坂のビル街と思われる遠景、奥寺さんと待ち合わせた四谷駅前、雨で濡れた新宿駅サザンテラス奥の路面タイルに映るスタバの緑の光、三葉が座っていた代々木駅ホームのベンチ、三葉に携帯をかけてた信濃町の歩道橋、などなど、こんなに美しい、そして魅力的な東京の街は初めて見た気がした。感情が投影されているからか、馴染みある平凡な場所の素敵さに、とても感動してしまった。そして結果として、見事なまでに、東京、及び日本の観光PRにもしっかりとなってもいた。
さらに、本映画では、新海作品としては従来作品とは異なり、よく練られたストーリーと圧倒的に見るものを引き込む大きな展開と疾走感が、本当に素晴らしかった。時間を超えて入れ替わるというのは謎を産み出す秀逸なアイデアである。そして、流れ星での大災害設定も、映像的な美しさと3.11を思い起こさせるとともにそれと闘う社会的メッセージを含ませられ、とても独創的と感じた。巫女舞及び赤い組紐も、日本を感じさせる道具立てとして、とても魅力的であった。優れたエンタテイメントにさせる意味で、今を感じさせるリズム有する音楽と広がりを持たせた歌詞の付与も、世界に通ずる高品質なブランド商品としてのの付加価値付与に貢献していた。
助走期間もあったが新海監督の類い稀な才能の基、日本のアニメ界の実力者達も加わって、新しいタイプの世界トップレベルのアニメーションの誕生に、乾杯である。