「君の名は」君の名は。 さと0715さんの映画レビュー(感想・評価)
君の名は
君の名は
今回、この映画を「男女が入れ替わる」「感動し涙する」と言うふたつの単純な予備知識をもって観てきた。
瀧と三葉が互いに入れ替わり、自分に戻った時、夢の記憶をたどり、もどかしく想う。三葉は瀧が今日、奥寺先輩とデートしているという記憶に思わず涙する。入れ替わりが無くなってしまってから瀧は、失望感に苛まれ、記憶の情景をスケッチする。この時、このもどかしさこそが愛の姿なんだ、というこの映画のメッセージを感じた。そして、これと同じメッセージが過去に観た映画にあったことが思い出された。それは、スピルバーグの「未知との遭遇」だ。リチャード・ドレイファスが、日夜取り憑かれるまだ観ぬデビルスタワーの幻影。拭っても拭っても、去来するここに行かなくてはという想い。「君の名は」を観て、これが愛の姿なのだという不変のメッセージを感じた。奇しくも、「君の名は」では、糸守湖畔の火山のクレーターや彗星が舞台となっており、「未知との遭遇」では、デビルスタワーでの未確認飛行物体との遭遇という設定であり、スケールはとてつもなく大きい。愛は、一つの感情であり衝動であるが、それは宇宙よりも大きく、時間を飛び越えるということだろうか。また、宇宙は果てしなく暗く冷たく、時間はとてつもなく永く不可逆的だが、そこには愛が流れでいるということだろうか。愛・宇宙・時間が世界を構成しているということだろうか。
君の名はを観て涙するのは、無意識にせよ、この事実に気付かされるからではないだろうか。
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