劇場公開日 2016年8月26日

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「お見事!でありながら残念でもある…」君の名は。 sophia703さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5お見事!でありながら残念でもある…

2017年1月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

興奮

私のベストアニメーション映画は「レッド・タートル」と「話の話」。
どちらもセリフが一切なく、余白や行間に、
観る者が思い切り想像力を注ぎ込むことができるアニメーション作品です。
おそらく真逆のタイプのアニメと思われつつも、あまりの話題性の高さに、
「よくある入れ替わりストーリでしょ?」程度の予備知識を持って本作のスクリーンに向かいました。
結果、いろいろな意味で納得もし、裏切られもしました。
「現実よりも遥かに美しく」描かれた、都会や自然の風景。
「ジェットコースター」というよりは、
暗闇で予期せぬ三次元方向に体を持っていかれる「室内型ジェットコースター」
に乗ったかのようなストーリー展開。
恋愛、時空の歪み、聖なるもの、天災…
唐突に現れたかに見える要素が、作中のキイワードとなる「組紐」のように
きちんと一本ずつ縒り合され、結び合わされて
やがて終局に向けたひとすじの方向性を持っていく…。
「新海誠監督&関係者の皆さん、実にお見事!!」な作品でした。
あらゆる意味で、「レッド・タートル」や「話の話」の対極にある作品。
こちらが想像力を働かせる前に、これでもかと新たな展開に引きずり込まれ、
息切れしながら一緒に走らされているかのような…。
でも、これだけ盛り沢山の要素を縒り合わせて織り上げて来たのに
ラストはあれで本当に良かったの???
「未来から来た者が過去を変える」話には「コレって反則だよね~?」と思ってしまうけれど
それにも増して
過去を変えるための彼らの奔走が、最後まで描き切らずに結果だけをいきなり突き付けられる
三葉もテッシーもさやかも、結局みんな「東京暮らし」なのって(^^; え~~?!
(神聖な「宮水神社」の社殿は存在しなくなったから、もうどうでもイイ?…(*´Д`))
この作品にこういうハッピー?エンディングが必要だったでしょうか。
良くも悪くも、裏切られた作品でした。
新海監督の以前のアニメーションを、この後観てみたいと思っています。

sophia703