「パズルがきっちりはまった&考えたらこれ矛盾はしてない」君の名は。 ここのーさんの映画レビュー(感想・評価)
パズルがきっちりはまった&考えたらこれ矛盾はしてない
音楽も映像もストーリーも演出も演技もすべて高レベル。いや最高やん。
先入観を見事につつかれた驚きったらないわ、これ。
涙腺硬いので泣けなかったけど、見終わったあと胸がいっぱい。なんも考えられん。空っぽなのかいっぱいなのか。その足で小説買って、理解して感動して、もう一回映画見て感動して。やばい、「君の名は」について考えすぎて仕事が…できない…。
この映画は見ても損無し。
以下は気持ちが昂りすぎて書くしかなかった駄文と低評価レビューの原因要素を消化するために書いたやつ。反論は認める。むしろ言ってほしい。違う意見が聞きたい。
ご神体のクレーター淵で会うまでから分かれるまでの展開は神。考えたら展開の暗示やん…。表現、演出すごすぎ…。
たぶん、滝がご神体まで行って三葉を宿してクレーター淵まで行くことが「隕石の影響範囲まで出すため頑張るけどぎりぎりだめ。」の暗示。
これが「タキが計画立てて避難させようするが止められる。」の流れとリンク。
もとに戻った三葉がクレーター淵から走ってクレータ外へが「最後の最後は三葉の行動力で解決」の暗示。これが「最後、村長を説得して無事避難完了。」の流れとリンク。
そしてRAD「スパークル」。盛り上げ方がやばい。
クレーターで「三葉がタキの手に名前を書くシーン」は、映画冒頭付近にある「三葉がタキの手に名前を書くシーン」とすこし被る、自分的に。なので全部書けると思ってた。でも書け…な…かった。切ない。
でも低いレビュー等もあるので、その原因要素を消化できるよう自分が考えた項目が以下
1.観客おいてけぼり、あと巫女で引く
2.曜日で時間のずれに気づくだろ?
3.なぜタキなの?東京なの?てか三葉の巫女設定いるの?
A.なんでタキは糸守消滅を知らないのか?
4.なぜ死の記憶があるの三葉?
5.タキはなぜこの時間に入れ替わり?
6.なんでクレーターで会えたの?
B.なぜタキは好きと書いたか、てか都合良いペン
7.糸守の最後、なぜ詳細に描写しない?
8.時をかける少女のパクリシーンあるよね?
C.探してる場所が脈絡無しで意味不明
9.こんなハッピーエンドは新海ではない
ハッピーエンドで終わりたいなら9は見るな。
1.観客おいてけぼり、あと巫女で引く
最初、滝が三葉に入っている状態で起床。でも下に降りる描写はその翌日。時間つながってない。次は滝の中に三葉。わかりにくい。
これらはまさに滝、三葉の主観でもある。「なになに?なにが起こってるの?」状態。この映画は観客に理解させるのではなく、おそらく「自分がそうなったら」で考えると楽しい。キャラの主観がすごく加味されているので、退屈だと本人が感じている最初の日常シーンは1日が長く、入れ替わり確定直後はタイムラプスの表現で1日がすごく早い。最初の退屈さが目が回るような加速感、楽しさを表現するシーンのアクセントになっている。ここで引き込まれる。引き込まれない場合はこの映画合わんな。
あと「巫女」と「口嚙み酒」で引かないで。萌えアニメと特殊性癖っぽくて俺ちょっと引いたけども。
でも巫女舞は彗星の分裂、衝突を後世に伝えるため、口嚙み酒は昔の人が入れ替わりをするためで必要だったから伝統化。だから引かないで…お願い…
2.曜日で時間のずれに気づくだろ?
まさにその通り。気がついても不思議ではない。てか本人おそらく気が付いてる。その表現は三葉(中身はタキ)が妹と婆ちゃんとご神体にいく準備のシーンで制服に着替えてる。タキは平日だと思ってた。でも休み。首かしげてるから違和感は少なくとも覚えてるはず。
でも3年違うことは本人にとっては些細な事だ。だって性別の違いとか周りの環境になれたりすることでいっぱいいっぱい。タイムラプスでも「あのやろう、よけいなことを(怒)」で乗り切ること第一でいっぱいいっぱい。でも楽しいんだろうなぁ(羨望)。
そんなこんなで曜日とか年とか地名は記憶優先順位がすごい低い。起きたら忘れるくらいの優先度。タキがラーメン屋で糸守って聞いて「糸守…糸守町!」って時間差ではっきりするぐらい低い。
3.なぜタキなの?東京なの?てか三葉の巫女設定いるの?
まず三葉の宮水一族は「相思相愛になれる人との入れ替わり」を能力に持つ巫女の家系だと思っています。隕石対策のための能力持ち。「相思相愛」の必要性は「助けたい」の気持ちは好きな人だったら強いでしょ?適当だけどそういうことかなと。
入れ替わり能力は最初のご神体インパクトがきっかけでそこそこ多くの人に備わったもので、生存に向けた知性生命体底力だと思います。テッシーの「狐憑き」、割と聞く(オカルト)話なので昔からいろんな人が入れ替わりをやられてた証なのではと思う。でも能力伝承ができなかったり、うまくいかなかったりしたでしょう。たぶん糸守湖インパクトが試練。逃げられたら合格で神を祭る一族に昇格。そうやって選別されて残ったんが宮水。勝因は「経験を能力に反映して改善」能力。激レア、つまり偶然手に入れたやつ。
「改善」能力で宮水の女性たちは経験を魂に刻み、子に伝承し、自分の好みの人に移れる確率を確実に上げる。そして自分も好いてもらいやすいように少しずつ美人に。もしかしたら元々美人DNAだったのかも。最終的には、男からも女からも告白され、近所のおばさんに別嬪さんといわれるくらい年代を問わない美人、三葉ができる。
そんな三葉が「イケメンの東京男子」をご所望。しかも家系的に縛りがなく自由な生活ができ、性格も自分好みの男。範囲が狭いと思いませんか?たぶんタキがベスト。
東京設定は監督のホームで絵が書きやすい+3年ずれの違和感緩和効果。
「田舎だからスマホぼろい( ´艸`)」
「東京ってすごいっ、スマホからちがう(驚)」
これは一例です。都会は進んで田舎ぼろい印象が3年を乗り越える。私は石川県に住んでます。田舎ぼろい印象はないです、断じて。
A.なんでタキは糸守消滅を知らないのか?
ラーメン屋で糸守の隕石消滅を聞いた時の「なに、それ?」的なタキの反応おかしくね?ってことかな。
たぶん隕石衝突は知識としてはあった。が、「隕石で消滅した場所」と「自分のいた町(糸守と言われるまで名前忘れてる)」をタキは関連付けてない。
「隕石衝突場所」の知識と「糸守町」が繋がってなくて、むしろ繋げたくなくて「なに、それ?」状態になった。
司や先輩も「糸守町」と言われてから「隕石消滅」と結びつけるまで少しタイムラグがある。
でも、すぐに同じ場所だと関連付けられて混乱状態に。
居ても立っても居られなくて高校まで行く。
図書館で死者名簿のページをめくっていく。「名前が無い」ことを願いながら。
俺も「名前が無い」ことを祈ってた。
そして「名前が有る」。冷たく非情な現実にタキ愕然。衝撃で記憶が飛ぶ。俺も愕然。
やっぱり秒速5センチの新海監督、突き放しも絶望感も半端ない。
あかん、あかんわー。この絶望に至る流れで完全に引きずりこまれたわ、この映画に。
4.なぜ死の記憶があるの三葉?
入れ替わりの法則性を考えると死日の朝に入れ替わっているのなら死の記憶がないはず。これは奇跡です、愛の力っ!
そう考えるのは嫌いじゃない。けど、結論からいうとあの三葉は「死を経験した三葉」で時間的はに「糸守消滅後の三葉」。三葉がタキに移って目覚めた場所はご神体んとこ。婆ちゃんが「ここはカクリヨ」、あの世と言った場所の中心です。そんな場所でタキは「三葉の半分」、魂と結びがある「口嚙み酒」を飲む。タキの手首の組紐、三葉から託された「三葉の時の流れを示すもの」を座標に、魂があの世から帰着。そして3年後の糸守湖をみることで自分の死の記憶が蘇る。タキがカクリヨに行く直前のセリフよくわかんなかったけど…わかるとすげえ…
5.タキはなぜこの時間に入れ替わり?
いままでは運命の赤い糸たる組紐の結びのみのため入れ替わりはできたが、日の指定不可。能力の限界。が、最後の入れ替えはいつもと違い「口嚙み酒」がある。「三葉の半分」を含んだことで強い結びができて1000年前から順に三葉の死までを見ることに。そして、いつ入れ替わるかはおそらく強い気持ちで決まる。いつにするかって?いまでしょっ!(直観で死日の朝。)
6.なんでクレーターで会えたの?
まず再会の大きな条件は「カタワレ時」、「同じ場所にいる」、「強い結び」だと思います。「世界の輪郭がぼやける」カタワレ時に「同じ場所」にいるだけだと他にできる人いるやん?そこで「強い結び」です。「人格入れ替わってる」「託し託された組紐」「口嚙み酒」「互いを求める気持ち」こんだけあれば十分では?しかも場所がクレータの淵「隕石の影響範囲の境目」。まさに三葉の生と死を分ける境目、その象徴。もう十分だろ。
ここで人格がもとの体に戻るので、死の記憶をもった三葉が完成。あとは走る。それに心揺さぶられる。
B.なぜ好きと、てか都合良いペン
マジックは地図に情報を書き込むため、取り出しやすい場所のポケットに入っていたと考えられる。たぶん地図もポケットに。
入れ替わり前に自分の手に「すきだ」と書くためにポケットに入れてた、のほうがキュンキュンするね。
名前じゃなく「すきだ」と三葉に書いたのは、「絶対会いにいく」と誓っていたから、どこにいても、名前を忘れても。
「名前」より「すき」という気持ちを覚えていてほしかったから、のほうがキュンキュンする。
たぶん三葉も「すき」と書こうとしてた。「み」の書き始めにしては横線、長い。
7.糸守の最後、なぜ詳細に描写しない?
これは簡単です。タキの主観。組紐を戻したタキには物理的に結びを持つものはなく、そのため起きたときにはなんの為にここにいるか忘れています。完全に夢状態。つまり糸守の記憶優先度はかなり低くなり、さらっと流せる情報になっているのではと思います。
8.時をかける少女のパクリシーンあるよね?
このレビューを見たとき愕然としました。たしかに坂道転倒シーンに似ている。そして俺は感謝した。描写されていないけどもし「時かけ」のセリフを、「いく。走って(会いに)いく。」「未来でまってる」と三葉がタキが言っていたら、そういう気持ちが伝わっていたらと考えると。アニメ見ててよかった。
C.探してる場所が脈絡無しで意味不明
電車で顔を合わせたシーン後、探している場所が脈絡無し。探すなら駅だろ。最初はそう思った。
でも、よく考えたら駅で探してもダメやんな。次の駅で降りる。相手がいると思う駅にタキも三葉も行く。すれ違うね。
結論からいうと「電車が離れていくシーン」と「再会シーン」は別の日。必死に探してるシーンは再会日までの間の日を表現。
顔を見るまでは「誰か分からないけど誰かを探している」という微妙な状態。それっぽい人を見かけたら振りむくくらいですぐ気にしなくなる。
でも、顔を見て「この人だけを探している」状態に変化。それっぽい人を見かけたらダッシュで探す。でも会えない。
あぁぁ、この探してる時を想像するとやばい。早く会ってくれぇ、とめっちゃ祈っちゃう俺。
再会場所は偶然だと思う。でも周りに誰もいないのは必然。
ちゃんと再会するには声掛けの必要があるんだが、周りに誰がいると「俺のこと?」「私のこと?」になる可能性あり。
誰もいないからタキは声を掛けられたのだと思う。
絶対、再会までの間に別人に声掛けて「だれ?」と言われただろお前。
それでもめげずに声掛けできたと考えると、すれ違いざまの赤い糸ありがとう。
絶対、俺の、観客の「その人だから!」の祈りの代弁だよ、あの赤い糸。
9.はハッピーエンドで終わりたい人におすすめできない。考えただけで俺は気分が落ち着かなくなった。
9.こんなハッピーエンドは新海ではない
いつからハッピーエンドだと錯覚していた?
三葉が別人と婚約している場合は壮絶なバッドエンド。秒速を超えるよ、この絶望。
監督にまかせっぱの脚本だと再会シーンで左手薬指に指輪が書かれていたと思うから、ほかの人らが殴ってでも止めたんだろうなと妄想。