「新海誠の集大成」君の名は。 SQUIDさんの映画レビュー(感想・評価)
新海誠の集大成
東京の男子高校生・瀧は田舎の町にすむ女子高生・三葉とある日、身体が度々入れ替わるようになる。しかし突然その入れ替わりがある日突然途絶え、不思議に思った瀧は入れ替わりの記憶を頼りに描いたスケッチを頼りに三葉の住んでいた飛騨の山奥にある糸森町を見つける。しかし糸森町は3年前に隕石が落ちて500人の死者を出し、滅んだ町だった。以前入れ替わった時に口噛み酒を奉納した神社は残っていて、瀧は一縷の望みをかけて、奉納した口噛み酒を飲む。すると、瀧は三葉の姿で、隕石が落ちる日に入れ替わっていた。なんとかして住民を避難させようとするがうまくいかない。しかし、日が沈むと入れ替わりが終わってしまい、互いの名前も思い出せなくなってしまった。元に戻った三葉は父を説得し、住民は避難できたため、死者は出なかった。時は流れ、瀧の中には何となく心の中に誰を探しているような思いだけが残っていた。しかし、ある日、対抗の電車の窓から互いを見つけた2人は急いで下車し、再会する。再会した2人は互いに名前を尋ねる。
観ていて思ったのは、私が鑑賞した新海誠監督のこれまでの作品「秒速」「星を追う子ども」「言の葉」の要素が全部詰め込まれた、まさに集大成のような、作品であるということでした。以下感じたことを箇条書きにしたいと思います。
・感覚に訴えかけてくる、音楽と絵の秀麗なところは新海誠作品の特徴であり、今回もそれがとてもよかったです。
・「星を追う子ども」では、悪い意味でジブリの2番煎じのような感じがしていましたが、大衆的なものを作ろうという視点から考えると、繋がっているなとおもいます。
・「秒速」では昔の恋、それに縛られ続けて、今を生きることができない男。最後も悲しい終わりという結末でした。今回も「運命の恋はあるのか?」という同じテーマを扱っているにも関わらず、今度はハッピーエンドになっていて、運命の恋に対して元々否定的というわけではないんだなと思いました笑
・古典要素が今回もそこそこ重要な位置に出てきて、「言の葉」を思い出しました。
・最後の住民の避難が成功するシーンはもっと描いて欲しかったなと思います。そもそも、あそこまで彗星が近づいている状態で、避難全員成功!とだけ言われても、あまり説得力がないなぁと思いました。それだけ、あのシーンに絶望感が伝わってきました。また、劇中で三葉と父との確執は結構深く描かれていたと思います。三葉がそれをどういう風に向き合い、どういう風にそこを乗り越えるかの部分は同じくらい重要なのでは?と思いました。
・奥寺先輩かわいい