「センチメントの夏、2016。」君の名は。 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
センチメントの夏、2016。
何とも言えない切なさが、夏の終わりに心地よかった一本。
「サマー・ウォーズ」を観た時の感覚と非常に近い、新海監督劇場初体験だった。
アニメゆえのダイナミックな演出、映像の美しさ、魅力的な登場時人物、そして心の機微がとにかく秀逸。
観ながら「どこかで観たことがある話作りだな…」と懐かしさを強く感じ。
思い出したのは80年代のサンデー、もっと言ったらキャプテンに載っていた漫画だった。
気になって調べてみたら監督はほぼ自分と同年代、なるほどと妙に納得した。
ほぼ完ぺきな、2016夏のセンチメンタルジャーニー。
しかしながら音楽がうるさいのは、唯一残念な点だった。
完全に個人的な感想で申し訳ないし、RADが悪いというわけではないのだが。
台詞のある大事なシーンに、歌詞付きの曲を大音量で乗せたりするのはどうなのか。
また、使用曲数が多すぎて予告で散々観せられた「前前前世」くらいしか印象に残らず、ラストに流れた曲も思い出せないのは。
音楽以外の作品の仕上がりからすれば、ちょっともったいないと思う。
その点でエンディングの山下達郎で背筋に稲妻が走り、その後も曲を聴くたびに作品を思い出して涙が出そうになる「サマー・ウォーズ」を超えることは出来ないのだろうなと思う。
細田監督自身も超えられていないし、そもそもが比べるものではないのかもしれないが。
それでも無人島に一本持っていくならば「サマー・ウォーズ」だな…嗚呼、また涙が。
声優としては、とにかく神木隆之介氏は難しいところをこなしており、役者としてのポテンシャルを感じさせたことはここに記しておく。
懐かしさと新しさ、そして夏の終わりを清々しく感じさせてくれる作品。
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