「全てを帳消しにするチャールズとエリックの友情」X-MEN:アポカリプス 三遊亭大ピンチさんの映画レビュー(感想・評価)
全てを帳消しにするチャールズとエリックの友情
「X-MEN アポカリプス」見てまいりました。出来不出来はよく分からないけど、シリーズファンとしてはそこそこ楽しめました。でも不満もかなり多いです。
楽しいんですけど、どうしてもアベンジャーズと比べてしまいますよね。そしてやはり、僕は僅差でアベンジャーズのヒーローの方が好きだと実感した。アベンジャーズシリーズとの違いは、キャラの描きこみが足りていないこと。数々の単体作品でしっかりとキャラクターの背景を描けるアベンジャーズに対して、X-MENで描かれるのはほぼ主要キャラのみ。今作に関しては、クイックシルバーがいきなりエリックに歩み寄ったり、ストームがシレっと仲間になったりしてる。しかも次期校長確実のストームに関しては、名前も呼ばれない。これでX-MENを応援するなんてのは無理な話だ。しかも敵になったり味方になったりするのはいいけど、最終的にX-MENファイナルディシジョンに話が向かうんだと分かってるこちらとしては、振り回されてる感が半端ない。
全体としても物足りないですね。アベンジャーズと比較するべきではないのでしょうが、物語もアクションも完璧だったシビルウォーに対して、物語は重厚たけどアクションが地味な今作。X-MENファイナルディシジョンのような、アルカトラズ島に橋を架けるくらいド派手な場面がどうしても欲しい。だってせっかくアベンジャーズの面々より強力な力を持ってるのだから、そこだけでも凄いものを作るべきだと思いますよ。カイロでの最終局面もプロフェッサー不在のX-MENチームにイマイチ纏まりを感じず、X-MENチームVSアポカリプスという構図にドヤ感がありません。これは設定の問題だと思うんですけど、結成されたばかりのX-MENは絶対的正義の集団ではないからだと思う。ただ集まってるだけ。ファイナルディシジョンばかり引き合いに出して申し訳ないんですが、アルカトラズ決戦でのX-MENチームの登場はかなりカッコ良かっですから。ウルヴァリンの「入り口を固めろ!」ってヤツです。痺れました!
ウルヴァリンのカメオ出演は当然なので、触れません。自分として納得いかなかったのが、今作がX-MENチーム誕生の話なの?ということ。ファーストジェネレーションですでにX-MENは結成はれていたのでは?よく分かりません。
家に帰ってファイナルディシジョンを見たのですが、時系列がメチャクチャです。まずプロフェッサーとその他の年齢がどう見ても違う。ファイナルディシジョンで既におじいちゃんだったプロフェッサーと10歳くらいだったジーンは、今作では兄妹ほどの年齢にしか見えず。あの感じだと、ジーンも現在は60歳近いはず。物語のキーパーソンの1人なだけに、もう少しなんとかならなかったものか。
美点を挙げるとすればここです。プロフェッサーとマグニートーの友情。これはシリーズ通して胸が熱くなります。ファイナルディシジョンでも、プロフェッサーが死んだことを茶化すパイロに対して、「チャールズはミュータント社会の功労者だ」的な事を言っていてすごく感心しました。今作ラストにおけるプロフェッサーとマグニートーの別れのシーンも、敵としての別れなのにそこに深い友情を感じる素敵なシーンになってます。大敵だけども友人というこの設定(人類を二分するほどの敵同士)は他の映画にはない独自の設定なので、毎回楽しみにしている場面です。
総じて、ヤングX-MENの始動であり集大成としては上出来だと思います。プロフェッサーとマグニートーの友情を感じさせるラストのお別れが、後に続くX-MENシリーズの物語の軸になるのは間違いないのですから。ここからどうシリーズが進むのかはわかりませんが、目が離せない。ただ個人的なランクは、1.マーベル、2.DC、3.X-MENという序列に変わりはありませんでした。
X-MEN フューチャー&パスト (2014年公開)でウルブが未来を変えてしまったからだと思います。
だからXメン~X-MEN: ファイナル・ディシジョンは無かった話になると考えました。
いかがです?