「なんだ猫か」貞子vs伽椰子 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
なんだ猫か
物音がして、そこへ近づいてみると、猫がにゃーといって出てくる、そしてホッとするのもつかの間、恐ろしいものがそばにいる。こういうショックシーンを、なんだ猫か演出と呼ぶ(某ラジオの受け売りですが)。この作品はこのなんだ猫か演出シーンをこれほど分かりやすく多用している点で面白い。
とはいえ、緊張と緩和のバランスや、フィクションバランスの早くからの放棄があって、部分部分は良く出来ていながらも、映画全体としてのホラーはあまり良くできてはいない。早くから貞子や伽倻子を出さざるを得ないということもあるからだろう。設定も急ぎ足仕様に変更されてるね。貞子は1週間が2日になってるし、伽倻子は家に入ってしばらく後って感じだったのが、即持ってかれるしね。
まあ、タイトルからして、大味なネタを繰り出すお祭りのような作品。言ってみれば、Jホラー界のアベンジャーズみたいなもんだ。ホラー要素よりも、強敵と強敵をぶつけてみる面白さというところに観る醍醐味があるからこれで良いとも言える。今まで見たことない若い人にとっては1粒で2度美味しいホラーになってるかもしれないが。
Jホラーはここまでしないといけなくなったかという残念感と、まだ組み合わせの面白さというところの発見で、新たな境地もあるかという期待もある。まあ、二大勢力をぶつけた以上、これ以上は無理だと思うけど。