「変わったジャパニーズホラー」貞子vs伽椰子 0さんの映画レビュー(感想・評価)
変わったジャパニーズホラー
今回の企画が公表されたときにはあまりにも無理があるだろうと呆れてしまいましたが、観終わってみればホラー映画としては十分成立しています。
バカでドジな登場人物たち。確かにツッコミたくはなりますが、それを理由に評価を下げるのは違います。
掴みの部分からラストまで、緩急を織り交ぜながらどこか不気味な雰囲気を保っており、観客を緊張させ続けます。暗闇と静けさの中に潜めた、神出鬼没でいつ驚かせにきてもおかしくない演出といい、そこと連動してくる床や階段が軋む音。そして怖さを駆り立てる不快な音楽といい、良い意味でずっと嫌になります。
視覚的であり受動的にグロい。エグい。怖い。ではなく、内面的・能動的にこれから起こるであろう嫌なイメージを連想させておきながら何度も焦らすイヤらしさ。観客を内側からジワジワと追い込んでくるこの怖さこそが本来の「リング」や「呪怨」の真骨頂であり海外にも影響を与えた、日本の誇るべきジャパニーズホラーなのです。それを今作で久々味わえました。
ぶっ飛び過ぎてる点や「vs」とつけておきながらのモヤモヤする消化不足感は拭えませんが、身近な恐怖を感じられて良かったです。
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