「ギャグすれすれの大技を決めてきた。」貞子vs伽椰子 lylycoさんの映画レビュー(感想・評価)
ギャグすれすれの大技を決めてきた。
こんな企画、普通ならギャグにしかならない。それでも、白石晃士監督なら何かやらかしているに違いない。ただその一念で観に行った。いやはや、やってくれたよね、白石監督。二大人気シリーズに引導渡しにきたよね。少なくとも、今後、両シリーズの新作を作る人は、この作品をなかったことにするか、リブートするくらいしか手がなくなった。
あの大ネタは、真面目なファンを困惑させるかもしれない。貞子と伽倻子を前に、それを言っちゃあおしまいだろって発想を具現化している。エンドロールでかかる聖飢魔II「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」でも歌われているそのイメージは、おそらく誰もが感じていることでもある。だから、ギャグとして消費することも可能だけれど、一周回って、あれ以上にしっくりくる決着はない。
ベースとなるお化け屋敷系やオカルト系のホラー部分はしっかり怖がらせてくれるし、終盤の異能バトルはそれだけでも結構な見ものだ。かなりのハイテンポで種々のホラー演出も手数が多い。出し惜しみしないサービス精神は呪怨スタイルを継承している。ヒロインふたりの怖がりは甘めでスクリーミング・クイーンには程遠いけれど、あの最恐デスマッチが始まってしまえば問題にもならない。
POVとかモキュメンタリーじゃない白石監督は初めて観たけれど、こんなゴリゴリのキャラものでも、キッチリ爪痕を残していくのは流石だなあ。わざわざ観に行った甲斐があった。