「閉鎖的組織の闇に堕ちていく男 ~白石流の描き方~」日本で一番悪い奴ら TSさんの映画レビュー(感想・評価)
閉鎖的組織の闇に堕ちていく男 ~白石流の描き方~
とんでもない実話を、白石監督流にエロ、グロ、笑いで突き抜けて描く。
閉鎖性が強い縦割り組織では、「組織の論理」が段々と正義や常識、組織全体の目的からずれていっても「おかしい」と言えない。この映画の原案となった稲葉事件は、正にその悪い見本ともいうべきもの。
社会派映画が得意な監督が、前代未聞の警察不祥事として真正面から撮っても成立したと思うが、白石和彌が監督が撮るとこういう仕上がりになるのか!と純粋に驚いた。
綾野剛も監督に共鳴するかのように振り切って演技。
組織の論理を「おかしい」とは微塵も思わず、その論理にズブズブに染まって行き着くところまで堕ちていく男を活き活きと演じている。
ここまでやれて、楽しかったんじゃ無いだろうか。いや、楽しんでいたはず。画面からそれが伝わる。
悪気無く、悪事を働く。
その滑稽さと、恐ろしさを迫真の演技で見せられた。
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