「市民の平和な暮らしと安全に貢献する。そういう正義の仕事が警察の本分...」日本で一番悪い奴ら supersilentさんの映画レビュー(感想・評価)
市民の平和な暮らしと安全に貢献する。そういう正義の仕事が警察の本分...
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市民の平和な暮らしと安全に貢献する。そういう正義の仕事が警察の本分と思い込んでいる警察以外の人にとっては、看過できない現実がすごくリアリティをもって描かれているように感じた。
警察の不祥事はけしからんと頭ごなしに怒ってみても、警官も僕らと何にも変わらないただの人間。ヤクザ相手に点数を稼ぐビジネスをしているプロフェッショナルと考えれば、むしろ僕らと変わらないどころか、ヤクザのほうに限りなく近い、そんな仕事なんだとも考えさせられる作品だった。
まぁもちろんこの映画にでてくるような警官はまれなんだろうけど、マル暴やなんかで長年働いているようなベテラン刑事が純粋な正義感だけで務まらないことは容易に想像がつく。
本作は実際の事件を元にしたフィクションということだけど、綾野剛の演技の入り込みようが見事で、昭和の時代のいい加減さというか、酔っ払ったまま馬鹿騒ぎして、でも誰も笑ってないみたいな冷たい感じがとても面白かった。
おとり捜査や違法行為に手を染めてまで、というより手を染める前提で点数を稼ぐことになんのためらいもない男の思考が、あの「狂った時代」の熱気を描いているようで、綾野の純粋さがその狂気の中で熱を帯びたまま破滅していくのは圧巻だった。
捕まってなお、道警に忠誠心を示し、また陽の目を見ることを夢見る。家族のような絆で男に尽くし、本当の家族には見捨てられ最後は死んでしまう男の人生。薬に寂しさを求めてしまう女たち。警察云々の話だけではない。人生の悲喜こもごもが鮮烈だった。
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