「やりたい放題タラワールドに初心者注意(笑」ヘイトフル・エイト Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)
やりたい放題タラワールドに初心者注意(笑
とりたて、タランティーノの信者ではありません。
けど彼が愛する1960~70年代のグラインドハウスムービーは、
大好きです。
幼い頃テレビや3本立て映画館で、
飽きるほど観ました。
だから、彼が愛情を注いだ映画を観るのは、
やっぱり楽しいですね。
今時フイルムにこだわるのがいい!
しかもなんと70ミリワイドスクリーンなんて(笑)
シネコンの時代、上映できる映画館がどれだけあるんだろう。
たぶん映画製作史上最後の70ミリなのでは?
残念ながら日本では35ミリにダウンされて、
しかも上下に黒みを作る始末ですが。
けど、冒頭からフィルム粒子の空気感は、
70sそのまま。そしてタイトルのダサいタイポグラフィに、
フィックスの長回しに、エンニオさんの音楽。
確信犯的な演出に、ニヤニヤしっぱなし。
そういえばCMの世界でも、
フイルムにこだわる監督は少なくなりました。
デジタルでかなりフイルムに近いトーンが
出すせるようになったのと、
結局編集するのにデジタル変換してしまうので。
何よりフイルムって高いんですよ。
デジタルは、取り放題ですから。
けど久々に観るシネスコープは、
やっぱり味があっていいですね。
ミステリーっぽい映画の宣伝文句で
「全員嘘つき!」って、
配給会社までもが嘘つきでした(笑)
理詰めもまったくない、
あけっぴろげな分かりやすさで、
これもタランティーノだなぁ。
あとはもうワールド全開。
冒頭から女は殴りまくって青タンに鼻血だわ、
ニガーニガーって差別用語垂れ流しだわ、
吐血はかぶるわ、脳みそぶちまけるわ、◯◯◯だわ、
もうあっぱれです。
構成も憎い。
観客をわざと焦らすような長〜い会話劇から一変、
転がり落ちるようなぶっ壊れ方に。
このやり口って好きじゃないけど、
いつも忘れられない映画に
なっちゃうんだよなぁ(笑)
風景も素晴らしいし、
何より山小屋のセットが良かった。
ワンルームで出演者全員が見渡せるけど、
奥行き感がハンパない。
どの画角もカッコよくて、
よく計算されていますね。
美術はキルビル同様、
日本人の方。
すごい才能ですね。
タランティーノ組の俳優陣は、
さすがの安定感だけど、
新入りのジェニファー・ジェイソン・リーが良かった。
ホントに性悪なカンジで、
演技とは思えないほどの凄みがありました。
助演女優賞、獲れると思いましたけどね。
彼女もレギュラーになるんでしょう。
とにかく期待通りのぶっ壊れぶりで、
その存在感はさすが。
そこに期待していくなら、大満足でしょう!
けど何となく観る?的なカップルや、
タラ様洗礼前の素人さんには、
何本か予習していきましょう。
なめてると長尺とエロとグロと後味の悪さに、
きっと痛い目にあいますよ(笑)