劇場公開日 2016年2月27日

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「タランティーノ劇場」ヘイトフル・エイト ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0タランティーノ劇場

2016年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

幸せ

めくるめく夢のような168分間を体験いたしました。はい。最っっっ高でございましたね。
まあね、あのクエンティン・タランティーノですから。ええ。自分の場合は問答無用に指名買いでございますよ。タラならどんなジャンルでも黙って映画館へ行きますよ!てなもんで。間違いなく、間違いなく面白いに決まってるんでね(タラが苦手な人はお気になさらず)。

で、間違いなく面白かった訳ですが。そりゃあね。そりゃあ彼の作品の象徴とも云うべき「無駄の多い長話」「トリッキーな時間軸イジリ」「マザファカおじさん(サミュエル・L・ジャクソン)」が揃えば間違いなし!でしょうよ、と。そこに『レザボア・ドッグス』を彷彿とさせる密室展開までプラスされて。『ジャンゴ 繋がれざる者』に続く西部劇を土台として。
しかし『レザボア・ドッグス』は小規模という印象があったのですけども、話の展開殆どが雪小屋の中だけで構成されていながら、この映画、何処か壮大さも感じられてしまうのは何故でしょうか。やっぱタラの力量なんでしょうか。それともハリウッドの為せる業なのか。168分という長尺のせいか。
メインのヘイトフルな8人があの限定された空間で好き放題暴れる訳ですから、ま当然ちゃ当然なんでしょうけども(種田陽平が美術やってるのも理由ですかね)。

お話としては、割と小規模なショートストーリー的な風から始まり、やたらと緩慢な無駄話に次ぐ無駄話(ここがタラ映画の好き嫌いが大きく分かれるとこですが)の連続で。その無駄話もやたらスケールアップしちゃってて。だから168分にもなっちゃってるんでしょうけど。観客らも「あれ?この映画、なんか間延びしてね?」となってるトコロにビックリするほどの急転直下が待ってまして。

イキナリ!凄惨極まる鮮血の舞台と化す雪小屋!
ちょいと今までの緩さはなんだったの?というぐらいのグロ!
おう!そう来たか!そうするのかタランティーノ!と。

そうですね。そうでした。タランティーノ作品の象徴と云えば「過剰で容赦のないバイオレンス」もありました。そうでした。
一応この映画、密室ミステリーに入るらしいんですけど、まあそこの楽しみ方は薄く、云ってしまえば4つの象徴「無駄話」「時間軸イジリ」「マザファカおじさん」「バイオレンス」がきっちり揃った「タランティーノ劇場」というジャンルでございます。そら3時間近くにもなるわ、という。

無駄話に痺れ、血飛沫に酔う。タラ好きなら必ず味わえる、極上とはこのことでしょうな。

ロロ・トマシ