ふたりの死刑囚のレビュー・感想・評価
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ある意味、ホラーより怖い・
もし自分が全く身に覚えのないことで逮捕され、刑務所に入れらえたら.....。
そう考えるだけで怖い。
登場する2人には、信じてくれる家族が居たが、
もし家族にさえ信じてもらえないとしたら....
そういう状況で冤罪なって、誰にも信じても助けてももらえずに、刑を執行された人も中にはいるかもしれない。そう考えると、ますます恐ろしい。
再審せぬまま死亡まで待つ!司法はこれを狙っていたのか!
ナレーションの仲代達矢による重い言葉でエンディングを迎える。この最後の言葉が集約しているように司法の意地やら建前やらで負けを認めたくない姿が浮き彫りになる。
二人の死刑囚とは名張毒ぶどう酒事件の奥西勝と袴田事件の袴田巌のことだが、主に袴田の人生にスポットを当てている。元プロボクサーとして年間19試合出場という破られていない記録も打ち立てているそうだ。そんな彼が冤罪により逮捕され死刑囚となったが、味噌樽の中から発見された着衣のDNA鑑定が行われ、再審決定がなされ、釈放となった(しかし、無罪が確定したわけではない)。現在でも存命。
奥西勝についての詳細は『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』に書いたが、この映画ではさらに彼の葬儀における死に顔も映し出され、涙を誘う。そして、彼の妹が無実を訴え支援活動する姿も新たに追加されていた。同じように袴田の姉の活動、刑務所に通う姿も描かれ、無罪を訴える肉親の苦労も描かれていた。
“ふたり”以外に帝銀事件の平沢貞通も扱っていたが、こちらは肉親による再審請求が必要なために支援者の一人が平沢武彦として養子になり、2013年に彼が54歳の若さで孤独死したことを描いている。これもまた悲しい事実だ。
現在も様々な冤罪事件の支援が行われている。特にDNA鑑定などの科学捜査が発達した今、それでも有罪判決を覆さない司法の横暴ともとれる事実に憤りを禁じ得ない。
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