ブルックリンのレビュー・感想・評価
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美しく汚れなき物語
想像していたものとかなり違っていた印象。これほどまでに映像に魅せられるとは─。
ノスタルジックを漂わせつつ色彩豊かで煌びやか。単に郷愁というものの力に頼ることなく、しっかりと今と未来をつむぎ逢わせている確固とした映像に、終始感服の涙を催す。
構図、色彩、脚本とサウンド、あらゆる要素が見事に溶け合い、笑いと感動を誘い出す。
展開されてる話は、確かに汚れなき奇麗事で、現実世界を装ったファンタジーでしかない。それでも、これを単なるアメリカ賛美の映画と捨て去るにはあまりにももったいないくらいに、素晴らしい結晶がそこにある。美しいものをいつまでも眺めていたいという願望と等しく、この映画も繰り返し眺めていたいと思ってしまった。
ストーリーを追ってしまう映画というものは、とかく一度見てしまえばあとは見なくてもいいと思ってしまうものなのだが、映像と音がしっかりした映画であれば、ストーリー関係なく何度でも見たいと思うわけで、この映画においてもその範疇に入っている。
田舎者が都会で生き抜く話であり、男女の恋愛を描いたにすぎないわけで、星の数ほどに描かれてきた題材。しかも、結局は男を選んで他のものを捨てたというツッコミどころもある訳なのだが、それでもこの美しい映像は非常に心にしみこんでくる。
特に音楽がアイリッシュ的調子からいつの間にかアメリカ的に変わっているという演出と、対象と背景との色彩コントラストには恐れ入った。
シンプルにこんな映画をつくりあげてしまうアメリカというのは、恐ろしく、かなわないと思ってしまう。
ずるい女
忘れていました。
「つぐない」の時も、まだ若かりしシアーシャ・ローナン演じるブライオニーの小悪魔ぶりに翻弄されましたが、今回もか…という感じ。
計算高い女を演じさせたら天下一品。観後感が何とも悪い映画でした。
共感できました。
1950年代のアイルランドとニューヨークの雰囲気がとても素敵で、全体的に映像の色使いがオシャレで引き込まれました。
優しい姉の愛情に後押しされて、自らの将来のために一大決心してニューヨークの大都会ブルックリンに行くエイリッシュ。
初めはとても頼りない田舎の女の子なのに、都会に揉まれ逞しくなっていく姿に元気をもらいました。
そして、恋をして綺麗になっていくエイリッシュがとても可愛らしかったです。
ラスト、アイルランドの彼が何だかかわいそうで……女ってズルいな〜なんて思いましたが、とても共感出来たし、前向きになれた作品でした。
恋愛しても良いと思える
主人公のエイリックがニューヨークへ行き
どんどん女性としても人としても成長していく姿が描かれている
その中で欠かせなかった存在が恋人という存在
故郷と仲良しの姉、母親を離れがたく思いながらもニューヨークで働く事にしたエイリック
その悲しさのあまりホームシックになり
表情は硬く、仕事もうまくいかない、そんな日が続き落ち込んでいた
そのアルバイト先での店長かな?とても綺麗なキャストで、よりエイリックの田舎娘っぽさが際立っていたと思う。
恋人と出会ってから表情も明るくなり
会話したりする事に抵抗もなくなり
コミュニケーションも豊かになって
様々な経験を得るエイリックは、とても生き生きとしていてとてもよかった。
エイリックに声をかけた(のちに恋人の)トニーは
ダンスができると信じる事が大切だという事を言う。
誘い文句だったとしてもそのくさいセリフは
2人の出会いを印象つけていて
その後交際中も優しいトニーが素敵だった。
上手くいっている中で、姉が亡くなるが、正直そこは上手く行き始めたあたりから読めてしまったてんかいだったが、
ヒューマン物語で主人公を襲うのは必ずと言っていいほど
支えてくれていた誰かの死、
姉が亡くなった事で故郷にとどまり、友人の結婚式から知り合う男性と
(その時は既に結婚している旦那の)トニーからの一途な手紙も忘れ、気持ちが離れそうになるが
最後はトニーを選んでくれてよかった。
環境が違えば影響されるものや気持ちの変化もある、そんな当たり前の事を伝えてくれた映画でもあったと思う。
恋をする事で、いい影響になれば
人は変われるし、それが自分の原動力になるのだと
恋愛も捨てたものではないと思えるのではないか。
実は、失恋したばかり、という方にも見てほしいようなそんな映画。
自分を愛してくれる人からの影響力はとても良いものだと思った。
故郷を離れる気持ちは世界共通
1950年代、アイルランドの小さな町に住むエイリシュ(シアーシャ・ローナン)という一人の女性が初めて親元を離れ、初めて異国の地で働き、初めて恋をする。彼女のラブロマンスが大半を占める本作だが、時代背景に付随したアイルランドの小さな町で暮らしている若者の将来を案じた渡米という冒頭の出来事に関しては、恋愛とはかけ離れた社会的問題が露わになる。
母国を去り異国の地で第二の人生をスタート・・・。現代の日本で将来の選択肢が幾程ある若い世代と重ねるとイメージしにくいかもしれないが、単純に上京してくる時の自分自身と重ねるだけでも本作の魅力を存分に味わえる。
では、一方は国から国の横断、もう一方は国内の上京と根本的なスタートが違う中でどこに魅力を感じてくるのか。それは彼女がブルックリンで生活をスタートさせてからジワジワ感じてくる。友人も知り合いもゼロに等しい右も左も分からない世界で挫折し、這い上がり、自立する力を得ていく。ついには恋人までつくり、いつのまにか異国の地に染まっている彼女が生き生きとスクリーンに映えている。これらは時代背景や世代問わず世界共通で感じることのできる本作最大の魅力であるだろう。
1950年代、アイルランドとアメリカでは少なからず差別的な批判があったであろうと思われるが、その描写はほとんど描かれていない。だが実際にアメリカへ入国する際の厳しい検査等の少ない描写で差別的な要素はあったであろうと予想ができる。これも面白いところであえて見せない描写が彼女の精神的強さを物語っている。自分自身と重ねて見れるところもあれば、見習うべき強さも兼ね備えている才色兼備の女性だ。
彼女の恋愛パートは後半にたっぷり待っているが、ここはラブロマンス王道路線まっしぐらというぐらい陳腐な物語。だが、ブルックリンに染まった彼女が母国へ帰るシーンがあるが、ここで友人達と出会った時の立ち振る舞いや映え方は本作で一番美しい彼女を見れるシーンかもしれない。「アイルランド=緑」という代名詞が陰ながら強調されている本作で、母国の色とブルックリンの流行りの色を取り入れた鮮やかな服に身を包む彼女は自然と突出している存在となっている。
ひたすら泣く。北の国から、か。
序盤から涙。この映画の良さはむ「普遍性」としか言いようがない。
上京物語の普遍性。子供みたいな世間知らずの女の子が海を渡る。ホームシックにかかる。解毒剤はあれしかない。そして花開く。。
帰省中の出来事は、きっとそうなんだろうなという流れだけども、おそらくこれがあることで、共感から離れる幼い観客もいるだろうけども、それが人生、ではないか。このビターさが人生だと思うよ。
今年ベスト級の面白さ!
ニューヨーク=都会で働く、アイルランド=田舎の少女、エイリッシュ。職場でのぎこちなさとか、孤独に涙する場面は、切なくて胸が痛くなる。
自分の居場所はどこなのか。自分を受け入れてくれる場所は、自分が受け入れられル場所は。
イタリア系男性との出会い。あまりにも痛ましい悲劇。悩み、苦しみながらも下す決断。
女子寮生活の丁寧な描写、苦しい時代を支え合いながら生きている人々の日常、それでいて説明的になりすぎない映像表現。
ああ、なんていい映画なんだろうか。
心からお薦めします。
夢を羽ばたいて
実は私も*十年前に渡米し、あの頃の自分と重なり、あの主人公の気持ちが痛いほどわかり、最後は泣いてしまったほどでした。内心見ていて、あのままアイルランドに残ってしまうのでは?と。しかしエイリッシュは賢い。私には出来なかった事をこの映画の中で彼女が実現した。母国語が英語だったら、もっと違う人生になっていたかも・・と複雑な気持ちです。コニーアイランドとかドジャース、懐かしいばかりです。こんなに自分自身に近い映画は初めてでした。
終始背中を押してくれた姉の静かな愛
姉の図らいで、閉鎖的で陰鬱としたアイルランドの故郷を離れ、新天地アメリカへ一人旅立つ娘Eilisの物語。
当初は故郷そのもののような覇気のない表情でホームシックに浸る彼女も、Brooklynでイタリア系の彼氏が出来てからは、どんどんあか抜けて明るくなっていきます。どんな時でも女性にとって、恋は強力なスパイスなんですね(^_^)
故郷のことなど吹っ飛ぶくらいになってから、急遽不幸があり帰郷することに。その直前、皆に内緒でいいからとせがまれて、恋人Tonyと結婚します。
内緒と言われたから既婚であることを皆に黙っていたというより、Eilisはアメリカに永住することに不安があったのだと思います。どんなに黙っていてと言われても、恋人からプロポーズされ即結婚したら、普通女性は舞い上がり嬉しくて嬉しくて、親友だけには喋ってしまう筈です。それが女心です。彼女が指輪も隠していたのは、心のどこかにまだ故郷を捨てる覚悟がなかったのです。家庭を作るなら、慣れた土地のほうがいいのではないかと、誰しも案じるのではないでしょうか。
ヒロインをあばずれとか狡い女だと評する、恐らく男性陣が散見されますが、主人公がもし男性だったらどうでしょう?アメリカに妻がいながら、別の土地の女に手を出す… ミュージカルにもオペラにもなった珍しくない話、今更映画化しても、あまり新鮮味がないようには思いませんか?
故郷で出会うJimの語り口、褒めっぷりから、Eilisの姉Roseが、息苦しい街で、浮いた話もなく、孤独な母親の世話をして、如何に模範的に暮らしていたかが分かります。帰国子女となったEilisに惹かれつつも、Jimは無意識に、Roseを失った悲しみを一番共有できる相手として慕っていたのかなと思って観ていました。JimとRoseをくっつけたかったなぁ。
Eilisが帰郷してすぐに唯一結婚の報告をするのが姉の墓前です。静かに咲いて散って逝ったRose。Eilisが、好条件の男性Jimがいる故郷に残ることを本気で望んだのなら、幾らでも方法はあるでしょう。意地悪婆さんが思い起こさせた、田舎町の噂好きで陰湿な側面は、姉がどんな思いで自分をアメリカに送り出したかをも思い出させました。姉の分まで人生を謳歌する為にも、故郷を離れ、まっさらの新天地で未来を築きなさいと、最後まで姉は無言で妹の背中を押していたようでした。母親を呼び寄せては?とは思いましたが、故郷にもう未練はないでしょう。アメリカでTonyと一から生きる勇気をもらうための里帰りとなりました。
二つの街、恋愛前後、渡航前後、と多くの対比があります。アイルランドとイタリアの対比を最も可愛いらしく表現したのは、Tonyの末の弟で、とてもキュートな小悪魔でした。
気持ち分かる~
仕事を求め、幸せになることを夢見て小さな田舎町から大都会のしかも異国へ移住した乙女心、分かる~(笑)
お母さんとお姉さんが本当に素晴らしい!
エリッシュ、いい人に出逢えて良かったね。
これからも幸せで居てね。と、願わずにはいられない映画でした。
田舎娘の成長物語
家族を思いながらも故郷を離れて人との繋がりを通じて成長して行く物語。
成長し過ぎて嫌な女になりかけるけれど、嫌な人間をみて踏みとどまる。
何がある訳ではないけれど、楽しく切なく暖かく良い作品だった。
新天地に一人渡る女性の心の機微に共感できる
日比谷シャンテで、シアーシャ・ローナン主演「ブルックリン」を観た。1950年代初め、故郷アイルランドから新天地アメリカ、ニューヨークに一人渡る若い女性の青春の物語だ。
昔の移民の話のように感じるが、僕の母よりも若い世代の女性の物語だ。
時代も状況も違うだろうけれど、地方から上京した若い女性は、この主人公の生き方、その想いや判断や行動に、特に共感するところが多いと思う。素敵な作品だ。
ふたつの故郷
男の人が背広を着ることで仕事モードに切り替えるとしたら、女の人は紅を引くときに、身が引き締まる思いがするような気がする。あくまでも私のイメージだけれども。アイルランドに住むエイリシュは故郷を離れて、アメリカ ニューヨーク ブルックリンへの移住を決意する。
クラシカルで洗練された衣装と、心地良い音楽が印象的だった。透き通ったブルーの瞳のシアーシャローナン。笑ったり、涙したり、繊細な感情の変化を丁寧に表現していた。仕事、勉強、恋愛。様々な困難に苦しめられ、涙する彼女を見ていたらこちらまで泣いてしまった。
ニューヨーク、アイルランド両方の海のシーンの美しさが印象的だった。
住み慣れた故郷を離れて異国の地で暮らすこと。その苦労と喜びが伝わってきた。
さわやなで爽快
ストーリーには納得はいかない部分も幾分か感じたけれど、それを帳消しにする素晴らしさが。知的で楽しい人達の描写ときれいな画面で綴られていました。アイルランドの色使いは昔から大好き。親への想いは大きいのだけれど個人の意志を貫いた先に幸せがあることを願います。
故郷の母と新天地と
自分の独立は親との決別でもあり、今の時代もその葛藤は消えない。
新しい生活には魅力が一杯で、希望と夢があるけど、不安もある。一方、生まれ育った大地には安心と心地よさがあるけれど、古い因習に縛られたしがらみもある。悩みは尽きないが、与えられたチャンスにかけた主人公には、今あるアメリカのアイルランド移民によって築かれた力強さを感じた。
悪い見方になっちゃうかも・・・?
一寸,地味で真面目な子が、姉のお陰で都会に出た所までは当たり障りの無い,何の変哲も無いストーリー展開かと思いきや否や、悪く言っちゃうが,イタリア人と婚約しといて,家族をダシに故郷に戻った所で、別の男に気を持たせた一寸したアバズレ女をシアーシャ・ローナンが演じちゃっていない?という見方もあるように思っちゃったのは俺だけ・・・❓
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