「陶酔。」ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ フットさんの映画レビュー(感想・評価)
陶酔。
無性に観たい一本だった。日比谷の主館は「削除」だったので、なかなか行けなかったが、最終日にして立川で間に合った。
期待すると自分は殆どハズすが、これは倍返しできて、終わった直後より帰り道で色々模索してたら泣けてきた。こんなん初めてである。
話はトマス・ウルフの伝記になるのだが、その成功を導いた編集者マックスウェル・パーキンズの話にもなる。新人監督ならではの単純な脚本構成になっているのだが、コリン・ジュード・ニコール・ローラによるカルテットが素晴らしい!主役二人の上手さはおいといて、くだらない作品を連発してたニコールが傲慢な薄倖女を披露。存在だけで演技できるローラとの絡みは絶品でした。パーキンスを毛嫌いしてたアリーンが後半デスクで拳銃手に忠告するところから、一気にカタストロフィに話はすべり堕ちるんだけど、コリンの上品度とジュードの下品さが数々の構図を作り出し、名画のような場面が氾濫する。「ネタバレ」にしたのは、これが言いたかったです。編集室で一切帽子を取らなかった → パーキンスの涙 あの最後の最後のカット この持っていき方はコリンの上手さがあったからだが、「英国王のスピーチ」より格別に自分は次元違いに感動した。父の他界した病院で死んでいくトマス。Of Time and the River が苦くもノンフィクションになる波瀾万丈な人生・・・トマスは親愛なる友へ。と敬意を示したが、パーキンスはそんな彼の一瞬たりの人生詩をも世間に伝えたかった「事」を「削除」してしまったことの悔いの涙なんでなかろうか?とか色々模索してたら、帰り道泣けてしまったわけで・・・・。
製作は英で2015とあるんで、たぶん今年の賞レースには乗らない。実際米国での批評家受けは良くない(伝記×新鋭には厳しい)んでオスカーふんたらは無いだろうが、いいじゃん。いい映画は個人の心ん中でいい映画なんだから。んんん・・早くブルーレイが欲しい。それぞれの立場でもう4回は観たい。
シネマシティ Jスタ