「カエル男の正体を公開前に明かしちゃダメの刑」ミュージアム 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
カエル男の正体を公開前に明かしちゃダメの刑
同名コミックの実写映画化。
いつものように原作が人気作なので賛否分かれてるが、いつものように原作未読なのでなかなか面白く見れた。
カエルのマスクを被った愉快犯による“殺人博物館”。
犬に喰い殺され、頬肉の削ぎ落とし、盾に真っ二つ、凍結、針千本…。
カエル男の手口はどれも残酷極まりないものばかり。
その描写もグロいっちゃグロいが、実を言うと期待したほどではなかった。グロさでは「アイアムアヒーロー」の方が上。
でも、邦画メジャーでこの手のグロい作品が続いて作られるようになったのは喜ばしい限り。(ドン引きしないでね…)
カエル男が現れるのは雨の日。
暗く、どんよりとした、陰湿な雰囲気作りも一役買っている。
カエル男に翻弄される主人公の刑事を、小栗旬が熱演。
家庭を顧みず、捜査に没頭。決して良き夫でも良き父親でもない。
追い詰められ、身も心もボロボロになり、目をも充血させ…やはり単なるイケメン俳優でない事を証明してくれる。
そして、カエル男役の○○○○の怪演は必見、いや、一見の価値あり!
殺人は芸術作品であり自分は表現者、特殊メイクを施し、そのキチ○イっぷりは見ていて愉快なくらい!(ドン引きしないでね…)
好青年としての○○○○が好きなファンは見ない方がいいかも。
被害者たちの共通点、過去のある事件の真相はいいとして、カエル男の動機はちと弱いが、そもそも愉快犯の心情など理解出来るものではない。
この手の邦画にありがちなセンチメンタルな描写もあるにはあるが、主人公の弱点・脆さを描く上でこれは許容範囲。カエル男が突き付けた主人公の罪は、主人公を壊れさせるに足りうる。
感傷的な描写は極力抑え、主人公とカエル男の行き詰まる攻防に焦点を絞ったのは潔い。
ちょっと期待外れだったのは、“エンディング”。
一応事件は解決しても後味の悪さは残すが、自分が期待した“エンディング”ではなかった。
(カエル男特製ハンバーガーの原料が思わせぶり通り妻子の人肉であったとか、主人公がカエル男のマスクを被った妻を撃ち殺すとか、そういう救いの無い“エンディング”を期待していたので…)
しかし、それらを差し引いても、このグロさ、陰湿さ、後味の悪さ、上々の邦画サイコ・スリラー。
採点は4でも良かったが、どうしても残念な点があるので0.5マイナス。
カエル男の正体は公開まで伏せとくべきだった。
カエル男さん、これに対して刑を!