ふきげんな過去のレビュー・感想・評価
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「なんかおもしろいこと、ねーかなぁ」 これが高校生の頃の僕の口癖で...
「なんかおもしろいこと、ねーかなぁ」
これが高校生の頃の僕の口癖でした。
主人公のふきげんな果子(かこ)も、
「どうせ想像する範囲内のことしか起こらない」と
無力感にあふれてました。
なんかつまんないけど、
べ〜つに何にもやりたくないわ的なのは、
今っぽいのかも。
映画では
リア充的に描かれやすい高校生だけど、
終始脱力的で何かに苛立ってる彼女の方が、
現実的ですよね。
てっきり予告編で、
日常の家族ものだと思ってたら、
シュールで上質なファンタジーでした。
何かが起こって、
今の状態がぶっ壊れるのを
待ってる主人公に、
ワクワク感が続く。
そこに非現実的なお話と世界観が、
違和感を無視して入ってくるから、
全編にわたって不思議ちゃんです(笑)
劇場じゅうがクスクスと笑ってるカンジって、
暖かな気持ちになりました。
過去と未来、コドモとオトナ、日常と非日常、
不機嫌と解放。
意図的なコントラストが繰り返されるけど、
さらりとしてるから、
飽きさせずに入り込めますね。
とにかくセリフがリアルで、おもしろい。
果子を中心として、
家族や恋人との生活シズルあふれる会話は、
どこかの家族を覗いているよう。
嘘のない脚本と、
テンポや絶妙な間合いの演出が秀悦ですね。
演技派が揃ったのも、魅力的にしてる。
二階堂ふみさんの
等身大の不機嫌っぷりがよかった。
印象的な2回の二階堂さんの笑顔が、
今でも頭から離れませんよ。
小泉今日子さんの妖艶なカンジも、
さすがですね。
小学生の女の子山田望叶ちゃんは、
主役のふたりと対等な存在感がありました。
思い通りになるわけもない、
つまらない日常の中で、
ちょっとした刺激を求めてる果子。
それって
映画館に足を運んでる
僕たちと同じなんだなって、
思ったのです(笑)
普段の毎日に
少しだけファンタジーをくれるのが、
邦画のいいとこですね。
面白いです
シュールもここまでくれば哲学的。好みは真っ二つの人間ドラマ。
【賛否両論チェック】
賛:平凡な毎日に悩む女子高生が、自由奔放過ぎる叔母と出逢ってその価値観に触れるうちに、次第に閉塞的な毎日を少しだけ変えていく様子が心に残る。シュールな笑いも、見方によってはおかしくて楽しい。
否:コミカルなシーンはかなりシュールで、物静かな場面も非常に多いので、興味を惹かれないと眠くなること必至。好き嫌いはものすごくはっきりと分かれそう。
「人生はほとんど予想通りのことしか起きない。仮に起きても、すぐに予想の範囲内になる。だから、人生ってつまんないものなんだよ。」
と平凡な毎日を嘆きながらも、どこかで達観している果子が、突然やってきた死んだはずの叔母に翻弄されながらも、何となく退屈な毎日に風穴を開けていく姿が、どこかおかしくも微笑ましく描かれていくのが印象的です。2人の名前が果子(過去)とミキ(未来)コなのも、遊び心があってステキですね。
一方で、作品自体にはコミカルなシーンが数多く登場する訳なんですが、その笑い自体がかなりシュールなので、楽しめるかどうかは観る人次第になりそうです。笑える人にはメッチャ笑えそうですし、笑えない人には全く面白くなくて苦痛だと思います。個人的には、“「海苔の安田」の奥さん”やシナモンスティックのくだりが好きでした(笑)。
気に入るか気に入らないか、1度試しにご覧になってみるのをオススメします。
1秒前は、もう過去。
康則ちゃん誘拐事件といい、運河の巨大ワニ事件そして未来子の18年の失踪。 何の繋がりもないようなこの事件。ところが「過ぎ去った時」で繋がっている。 ふきげんな過去(果子)、普段から果子の冷めた何もかもつまらなそう高校生。最初の場面で、果子の傘を引きづる音で、スッと惹き込まれる。二階堂の演技が「この女やっぱしうまい。」と思ってしまう。カナの演技も秀逸。話がどんどん転がって飽きさせない。 監督前田司郎は、NHKの『お買い物』以来素晴らしい作品だ。ラストのデカいワニに 驚いたが、最後の「ボン!!!!」という音がもう最高!!!!。 強いて言えば、映画の題名は、もう少しヒネリが欲しかった。
未来子さんの正体論
二階堂ふみを中心とした演技のアンサンブルを観てるだけでも楽しいし、
それなりのオフビートなホームコメディとしても面白いです。
でもね、
小泉今日子(未来子)の正体はワニ。
っていうオチの解釈から逆算して映画全体を振り返ると
すごくイイ映画だなと思いました。
幽霊かって思わせておいて、傘で刺したら血が出た。
幽霊じゃなかったら何か?
ワニでした。
「潜伏」ってまんまの意味か。
「弱ってた」のは傘で刺されてたからか。
「運河なんかにいるわけないと果子が探したから」
小泉今日子の姿になって現れたんだろうなー。
「野村さん」の出身地エジプト、最後の目的地はシナイ半島。
ナイル川でくくれば、ナイルワニの故郷。
古代のエジプトではワニは信仰対象で「神の使い」であったそうな。
死んだと思ったワニが、ラストでどっこい生きていた。
つまらない人間たちを蹴散らして、
また「ここではないどこか」に行くのでしょう。
『ヤング≒アダルト』のメイビスが、ミネアポリスへ帰っていくラストを思い出しました。
「自分の娘を殺人者にはしないよ。」という約束も守ってみせた。
そんなワニの姿に、二階堂ふみは“親の背中”を見て、
笑顔になったのではないでしょうか?
思春期の破壊的衝動の象徴として爆弾やワニがあるんじゃなくて、
「ないと決めつけて未来を閉ざす生き方はつまんないよ」と、
ややエキセントリックなやり方で教えてくれてるんじゃないか。
そんなふうに思えた映画でした。
ぶっ飛んでる。夏の幻影。
日本映画にまったくないタイプの映画、そして前作とは比べものにならない完成度。あれは手を抜いていたか遊んでいたかなんかではないか。
頭がふらっふらになる。いったいいくつの仕掛けが施されてるのかわからないくらいのレトリック。油断してるとあっと掴まれる児童文学のあの感じ。
死と生、老いと思春期(反抗期)、あの世とこの世をいったりきたりで全部が夏の幻のようなファンタジー。
鈴木清順、黒沢清、アピチャッポン、ユスターシュ、モンティパイソン、カウリスマキ、、、ちがうな、押井守の初期アングラアニメ、、台風クラブ的、何に似てるのか説明に難しいし、たぶん監督は観てもいないだろう。なんかもっと引用しやすい文学作品はありそうな気がするが、、とにかく装置だけは朝ドラみたいなところに大量のセリフが長回しで用意され、まったくテレビドラマ的でもないし、なんだマジックリアリズムか気の違った朝ドラというべきか。
疲れた女も、老いた女も、ふきげんな少女も、大人ぶった女の子も、みんな豆を剥きながら佇んでる様は何かの亡霊、いや、やっぱり幻のようで、爆弾とワニをモチーフにしたクロニクルな青春映画だな。
リアリティではない面白さ
反物語を「進行」させる無理、を通す
ふつう、主人公は、のっぴきならない問題を抱えることで観客の好奇心を掴み、それを解決していこうとする過程と葛藤が、観る甲斐のある物語となっていくのだろうし、それはあってしかるべき。物語のことばかりが映画ではないのはわかった上でも。
この主人公=二階堂ふみには、どんな降りかかる問題らしきこともすべて「あーやっぱりね」というように、鼻で笑って流していく。作中の人物たちもこの無敵風情の主人公に対して「これがお前の問題」と斬り込んでいくのだが、ことごとく、ダメ。物語になっていこうとしない。
我々客は、最初のシーンから、この主人公は何だか知らないが、何かしらに問題を抱えているらしいのはわからされているから、前のめりで観始めている。だが、この主人公の住む、家族、女たち特有の、一体感あるおしゃべりの強乾燥リズムと、登場人物たちのたたずまいに、その白い肉体の群れに、喜び、楽しみ、熱を持ち、つまり同時に、物語的には肩透かし受け続けていることの、いやな予感している自分に気づきながらも「まあいい」追いやって遠ざけてしまい、会話の面白さや女と男のいる風景、などという、違うことに前のめりになってみたりする。
これでは好奇心の保持期限、切れてしまうらしく、もううんざりとしている自分がまた片一方にいることに気づく。いやな予感が強くなっていく。主人公の反物語性は、ただ思春期の女の子だからという部分もあるとしても、それは誘い水で、のちに誘われて観ていくと、思春期性のものなど超えている厭世観であることがわかる。が、その矛先がよく分からない。主人公も見えずに、苛立ち、呆れ、うんざりとしている。どうしたらいいのか。分からないままの時間が流れていく。
だがなんと、主人公のうんざりと観客である私のうんざりとが、合致する瞬間が来る。問題抱えた大人たちを、「お前ら、たかが物語性だろう!」、こう罵倒する瞬間が来る(こんな台詞はない。が、こういうことを言っている)。それへの、感動的合致の生む興奮の、それだけのために、じっくりと、いろんな意味で前のめりさせられ、同時にうんざりもさせられる続ける。
一筋縄ではいかない、不思議な映画。観ているとき笑いまくったが、後から考えれば実は全部笑えないような気もする冷ややかさもある。夏の映画だから浮かされた。これが巷で流行の反物語物語の成功例かと思う。
こんな感想でいいのかすらよく分からない。自分だけ深刻すぎるようだが、それはただあなたが気づいていないのだ、とも言いたい。
ビニール傘の音、正体不明の豆、動かぬ赤子、友人を怒ってる理由、何の仕事で汚れているかわからないシャツを着た男の義足、屋上の男...。この映画、ちょっとだけ不安にさせるのが上手い。
ちょっと不思議な現実。地面から少し浮いたところの話というか。どこかずれてるというか、シュールというか、お茶目というか。
どう説明したらいいか考えていたが、「いつまでも秘密基地で遊んでる大人」って感じかな?
舞台挨拶で板尾が「子供の時は仮面ライダーになりたかった」と言っていたが、未来子もまだ子供の時になりたかった何かになりきったままなのかも。
どうなるか先が見える未来なんて、すぎさった過去をやり直しているようなもの。そんなことを考えていそうな果子が不機嫌なように、未来子もずっと不機嫌な青春時代を過ごしていたのだろうな。
で、爆弾を作ることで、先の見えない未来が目の前に現れて、いてもたってもいられなくなって、どこかへ飛び出したのだ。たぶん、あのラストの果子のような笑顔を残して。
台詞は、ひとつひとつがよく練られていて、言葉だけでなく間や強弱や顔の向きやらが、極上。向田邦子を思い出した。面白い映画です。
ふきげんな顔ではじまり
笑顔で終わる映画。
二階堂ふみに星一つ
小泉今日子に星一つ
高良健吾に星一つ
この3人のファンしかきっと高評価を出せないだろうなと
映画というより演じている姿を映している感じ。
カメラもほとんどがフィックスですし登場人物の会話のやり取りが主な展開。
動きで唯一面白いな思たのが二階堂ふみさんと小泉今日子さんのキャットファイト
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