劇場公開日 2016年10月1日

  • 予告編を見る

「日本映画のヒーローの系譜」SCOOP! Toshiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5日本映画のヒーローの系譜

2016年12月2日
iPhoneアプリから投稿

役者福山のファンなので観に行った。
オリジナルが原田芳雄と宇崎竜童とは知らずに観た。その為福山は松田優作をやりたいのだなと感じながら観ていた。映画自体も昭和のプログラムピクチャーの匂いが漂っていた。特に70年代のうらぶれたそれの匂い。
日本映画のヒーローの系譜は戦後に限れば
ミフネ→裕次郎→健さん
と続く。それはタフで男臭く、反権力で時にはアウトロー的な振る舞いも辞さないというもの。原田も優作も彼らの後に続いている。健さん以降は時代を反映して反権力の側面が強くなる。福山は日本の男優の本流らしく、いずれは彼らに連なる役を演ると思っていたので期待して鑑賞した。
結果は優作の亡霊に振り回されているように見えてしまって、福山独自のヒーロー像が見えてこない。福山初の汚れ役などと話題になっているが、無精髭に革ジャンは原田や優作のトレードマーク。ことさらスケベェを強調するのもムリがある。二枚目役から脱皮と考えての事かもしれないが、あのミフネも健さんも若い頃は甘い二枚目だったのだから、構えてやる必要はない。独自のヒーロー像は今後に期待か。
他のキャストでは二階堂ふみが良い。このうらぶれた作品世界にあの暗さがマッチしている。またリリー・フランキーの狂気はすさまじい。この2人は観る価値あり。
ラストの福山と二階堂のやり取りはなんで付けたのだろう。あそこは福山の後を継いだ二階堂と若い相棒が街に出ていくところで終わるのが、この種のバディーものの良い意味での定型のはずだ。最後にMTV的に福山を見せてやろうというなら、余計なお世話だ。

Toshi