「ゲスの信念」SCOOP! 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ゲスの信念
とあるネタバレレビューを見てしまったのでラストの緊張感が薄れてしまったものの、思ってた以上に面白かった。
日本版「ナイトクローラー」にはなれなかったが、上々の盗写エンターテイメント。
アップテンポの演出、センス抜群の映像や音楽、そこにスリリングさがプラスされ、初の非青春作でも大根仁が手腕を奮う。
まずは、ダーティ福山。
正直、パーマにアロハシャツのガサツな不良中年ぶりはちとダサいし、鑑賞した劇場の音響設備のせいかそれとも単に滑舌が悪いのか台詞がちと聞こえづらかったが、これまでのイメージを覆す新境地に偽りはナシ!
まさかここまでハマるとは!
いつも狙われてる人って、狙う側をよく見てるんだなぁ、と(笑)
下品なまでのエロエロぶりはラジオ番組でのエロ発言で知られる彼の素か?(リリー・フランキーとの絡みは絶対素でしょう)
ある密会シーンをスクープした時の興奮の雄叫びは何だか爽快だった。
人気が下がってると言われている今、この汚れ役はどうキャリアに影響及ぼすか分からないが、個人的にはアリだった。
相棒役の二階堂ふみ。
序盤のズブの素人ぶりは画に描いたようにベタだが、次第に最低と言ってた仕事にのめり込み、良きパートナーとなり、仄かな恋心を抱く様を、キュートさと度胸の強さを併せて巧みに演じていた。
吉田羊。仕事の出来るカッコイイ女がよく合う。
滝藤賢一。最後、この人に泣かされる!
そして、リリー・フランキー。もう、ただ“怪演”って言葉だけで言い表せられない。必見!
芸能誌やパパラッチのゲスい世界も描かれているが、中年パパラッチの逆転ホームランとルーキーの成長として見る方が正解。
芸能人のケツばかり追い、下世話をスクープしては汚れた金を稼ぐ。
目指した頃の志は違った。
いつからこうなったのか。
内にはまだ記者魂がくすぶっている。
が、久々の報道ネタに躊躇する。
自分が最低の人間だと分かっているから。もうクズ記事を追う事ぐらいしか出来ないから。
記事のヤバさより、かつての自分にビビっている。
ルーキーの存在が内の記者魂を再燃させる。
自分だけの手柄の為ではない。
ルーキーに打たせる逆転ホームラン。
師として、パートナーとして。
このセンチメンタルな要素が「ナイトクローラー」になりきれない点でもあった。
主演二人のラブシーン含めエロいシーンも多く、福山だからと軽率な気持ちで見ないように。(女性ファンは)
また、オチは賛否分かれそう。でも、
スクープを追え。
スクープを狙え。
スクープを撮れ。
非道なこの弱肉強食の世界で。
信念を持ってゲスになりきれ。