「ガストンの嫁は、そりゃ嫌だろうね。」美女と野獣 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ガストンの嫁は、そりゃ嫌だろうね。
初めて「美女と野獣」を観たのだけれど、こんな最先端なヒロインがディズニーにいたなんて!と衝撃を受けた。
アニメ版は1991年なのだから私は観ていてもおかしくない訳だけれど、お姫様の登場するような物語から足を洗うのが早かったせいで全く興味がなかった。
「ダークナイト」や「キングスマン」や「ヒメアノール」が戴冠するビデオ屋さん大賞で1位を獲得しているのを発見してなかったら観ようとは思わなかったんじゃなかろうか。
この映画は「こじらせ草食系男子」の野獣を「ゴーイングマイウェイ女子」のベルが導く物語だ。生きたいように生きて何が悪い、と言わんばかりのベルに「強い子だなぁ」と思わずにはいられない。
既存の価値観(野獣=危険・野蛮、女は本を読まないなど)にとらわれず、助けたいものを助け、行きたいところへ行き、やりたいようにやる。
一方の野獣は父の価値観に乗っ取って振る舞い、そのせいで魔女から呪いをかけられ、煽動された村人に城を襲われる受け身っぷり。超受け身。
最後そんな野獣が頑張れたのは、そんな自分でも受け入れてくれていたベルの姿が目に入ったから、なのだろうか?
話をまとめるためには必要なんだろうけど、最後は「戦う男と見守る女」の図になっちゃったような感じではあった。
でも、とにかく利発なベルが輝いていて気に入ったね。素敵だった。
原作から約260年、アニメから約四半世紀、少しずつアップデートされているのだろうけど、今支持されるヒロインにマッチしていてとても楽しめた。
欲を言えば、もう少し野獣を掘り下げて欲しかったかな?野獣と化したからこそ自我を超越したみたいな、哲学的解釈を…。それは無理か。