「世界興収歴代7位「ライオン・キング」の原点的な作品! 最後の技術革新の「手作り感」が一番良い?」ジャングル・ブック 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
世界興収歴代7位「ライオン・キング」の原点的な作品! 最後の技術革新の「手作り感」が一番良い?
本作は歌舞伎座で史上初の洋画のプレミアイベントを行なうなど、実はかなり宣伝に力が入っていました。確かに日本語吹替版の声優陣も松本幸四郎、西田敏行、宮沢りえ、伊勢谷友介など、かなり豪華でしたね。日本では興行収入22億1000万円となりました。これは決して悪い数字ではないのですが、もう少し話題になっても良かったのかな、と思います。
本作の見どころは何と言っても「主人公の少年以外は全てCG!」という「え、本当に?」と思うような映像の技術革新の進化の凄さにあります。
まさに、ジョン・ファブロー監督は、この「ジャングル・ブック」の経験を発展させて“オールCG”で制作して世界的にメガヒットとなり(現時点で)世界興行収入歴代7位となっている「ライオン・キング」を生み出したのですから、この作品は「ライオン・キングの原点」的な意味でも大きいわけです。
唯一の実写の少年が「初の演技」だったのにも驚きですが、これもジョン・ファブロー監督がトラの代わりを自身が演じてみたりしていたりと、制作チームの優秀さがにじみ出しています。
物語も無駄がなく伏線はキチンと回収されていますし世代を超えて楽しめる作品となっていて、映像も含めて出来は良いと思います。
個人的に好きなシーンは、小象とのシーンと、エンディングの際のタイトルの“ジャングル・ブック”を「立体的な本」の形で遊び心で見せている「手作り感のあるCG」の映像表現です。
CGの技術革新は、想像の域を遥かに超えていますが、そんなCGを使って「手作り感」を出した方が「凄さ」を感じるのは何だかおかしな話ですが、これが日本人の感性なのかもしれないですね。
今回の「ジャングル・ブック」の地上波初放送のタイミングといい、昨年の日本の「興行収入歴代1位」に大きく貢献した「アラジン」「トイ・ストーリー4」「ライオン・キング」「アナと雪の女王2」「アベンジャーズ エンドゲーム」「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」といった超強力ラインナップは、まさに6月11日から日本で開始される「Disney+」という配信サービスに向けて、でもあるので、さすがの戦略です。