「勧善懲悪を期待してはいけない」シビル・ウォー キャプテン・アメリカ みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)
勧善懲悪を期待してはいけない
本作は、迫力ある質の高いアクションシーン満載であるが、それだけが売りではない。従来の勧善懲悪型の痛快なヒーロー・アクション映画とは一線を画す意欲作である。
世界の悪に立ち向かうために、アベンジャーズとして団結した正義の味方達だったが、悪との戦いは熾烈を極め、勝利はするものの、犠牲を伴うため、世界中から批判に晒されることになる。結果として、アベンジャーズの自由意志での縦横無尽な戦いを抑制するために、国連の管理下に置くという処置に、彼らの意見は分かれ分裂の危機が訪れる。
今まで、正義の味方は、限りなく強く完全無欠であり、地球の平和を守るため、寸暇を惜しまず、悪と戦って倒してきた。その人間性を描くことはタブー視されてきた。しかし、スパイダーマン・第1シリーズあたりから、その深層心理をしっかり描いた、葛藤し苦悩する人間臭い正義の味方が登場するようになってきた。
本作は、更に踏み込んで、正義を貫くという志は同じ者たちの、本音の激論、そして内紛まで描いてしまう。まさに彼らの人間としての本性を剥き出しにさせてくれる。それが良い。奏功している。正義の味方を神聖化/特別視せず人間臭く描くことで、彼らの存在が凄く身近に感じられる。
最後に、彼らは、内紛の危機を脱して再び強い絆で結ばれ悪を倒す。血の通った、生身の、悩み多き、彼らの次なる活躍に期待したい。
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