「大傑作!!」シビル・ウォー キャプテン・アメリカ おぎゅーさんの映画レビュー(感想・評価)
大傑作!!
まず、この映画に低評価を付けている人はちゃんと一連のマーベルの作品群を観ていないか、映画に対する読解力がないかのどちらかだと思います。2時間半の超大作ですが、全く長さを感じませんでした。逆によくこの時間にこれだけのものを詰め込んだな、と感心したくらいです。無駄なシーンが一つもないし、しっかり伏線が張られてきっちり回収される。だからこそ、きっちりと関連作品を復習したうえで鑑賞されることをお勧めします。
アベンジャーズは幾度となく世界を救いましたが超人達の活躍の陰で犠牲になった罪のない人々。前作で、制御できない自身の力でこれ以上無辜の人々を巻き込むことを恐れたブルース・バナーは一人アベンジャーズを離れましたが、今作では実際に家族を失った遺族からトニー・スタークは直接なじられ、時を同じくしてキャプテンアメリカのチームはオペレーション中に多数の民間人の犠牲者を出してしまいます。これによりアベンジャーズを国連の監視下に置こうという機運が高まり、その是非を巡ってチーム内で意見が分かれます。元々独善的で傲慢、常に自分の考えが正しいと思ってきたはずのトニーが仲間たちとの出会いや前作「エイジ・オブ・ウルトロン」での自身の失敗を通して監視下に置かれることを主張するのに対し、自身が元々戦争のために創り出された超人であるスティーブが、国家のエゴにより活動が強要され、自分たちが正しいと思うことを貫き通せなくなる恐れがあると反対に回るのは、作品を通しての登場人物の内面の変化が反映されているようで非常に面白かったです。
それ以外にも特殊能力を持つ他のヒーロー達と比べ一般人である自身の能力に限界を感じ、いったんは引退を決意したクリントが自分のできることできないことを踏まえて再び仲間のために立ち上がる姿は個人的に感動しました。それ以外にもロマノフ含め、ほとんどのキャラクターがこれまでの作品からの心情の変化の変遷を破綻なく丁寧に描いていて、ただただ脱帽です。
そして、今作の最も大きなテーマは「家族を失うことのつらさ」です。今作のヴィランの行動理由も妻と娘をアベンジャーズの活動で失ったことですし、ブラックパンサーであるティ・チャラも国王である父を失った憎しみで復讐の鬼となります。そして、ウインターソルジャーに両親を殺されたことを知ったアイアンマンは我を忘れてウインターソルジャー、キャプテンアメリカと戦います。ラストシーンは、どんな悪役もスーパーヒーローも一般人も、家族を失うつらさは何ら変わりないが伝わってきて胸が痛かったです。
とにかく、個人的には「ダークナイト」以上の傑作だと思います。括目してごらんください。