マジカル・ガールのレビュー・感想・評価
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主題は少女に降りかかる不幸じゃなかった
まどマギのような世界観と聞いていたので、もう少しポップに話が進んでいくのかと思っていたけど、少女の思いとは裏腹に話は大人中心に暗く進んでいく。
まどマギの世界観は少女の願いが悪用されることがもっと全面に出ていたけど、マジカルガールは少女の願いによって不幸の連鎖に巻き込まれる大人達の話に主題が置かれていることが違うと思う。そういう意味でタイトルにミスリードされた思いがあり、期待ほどは評価できなかった。
バルバラとダミアンの間に過去に何があったのかよくわからなかった。学生時代に性的被害に遭ったのか?バルバラはダミアンが紳士ぶったクズだと判っていて、こういう結果になることを予想してダミアンに頼ったのか?暗示的には示していたような気がするけど、はっきりして欲しかったな。
一番のクズは紳士ぶってた数学教師のダミアンだった。対照的に唯一悪いことしてないアリシアが1番可哀想な目に遭うとは。ルイスもバルバラも、罰を受ける理由はあったけど、アリシアは純粋に父親と一緒に居たかっただけ。最後だって父親にコスプレ姿を見せて喜ばせようとしたのに、それが仇になってしまって…。
※ 109シネマズ川崎で2016/04/06に鑑賞。
天知茂版明智小五郎シリーズ
監督自体もあの頃のテレビドラマが好きだと公言してるようで、全体の雰囲気もなんとなく懐かしい感じと、しかしあくまでもスペインの乾いた空気が漂う画風である。始めの主人公である求職中の教師がネット検索する際のポータルサイトが『RANPO』という名称にもそれが表われている。
プロットとすれば、一寸複雑な話の進行で、3人の人間がそれぞれのストーリーを持ち、それが絡まり合う群像劇のような流れで、それぞれが闇を抱えながら、最後は突拍子もないラストへ傾れ込む。
劇中に流れる音楽も中々絶妙に演出を盛り上げる。長山洋子の歌がこんなにも作品に華を添えるとは上手い演出である。それは、教師の娘が不治の病であるにも拘らず、好きなアニメアイドルに憧れ、踊る真似をしながら、突然気を失うシーン、又は父を驚かそうと買って貰ったドレスとステッキを持ってこれから正に踊りの披露をする際に流れるBGM。強い寂寥感と、居たたまれない程の辛苦感を放出させている。スペイン音楽との親和性みたいなものも同時に感じられるかなり作り込まれた秀逸な出来だと感心させられた。
内容的には『ファムファタール』ものなのであるが、そのサイコパスな展開、少女の夢を叶えたいばかりに悪へのめり込む教師、そして精神的に病む精神科医の妻と、その妻の学生時代の恩師の破滅的なストーリー展開。本当に何が次に起こるのか予想もつかない流れであり、まさか娘を撃つまでの猟奇的な展開は驚愕でありさえする。かなり気まずくなるので娘と観に行くような映画では決してないと、評論家町山さんの話に頷くことしきりである。
冒頭シーンの悪口が書かれたノートの切れ端、そしてラストシーンのスマホ。お互いに手品で隠し合うことで、この作品のカタルシスが完結するのであろう。
魔法少女と魔女の戦い
謎が多く、多様な感想が許された映画なのだな、と思う。
「魔法少女」というものが現実にあったら…、ということなのだろうか。
アリシアという魔法少女と、バルバラという、かつて魔法少女だった魔女との戦いのように見える。2人とも、「願い(バルバラの場合は呪い)」を叶えることはできたが、大きな代償を払うことになり、終わる。
アリシアの願いを叶える「力」は、アリシアの父の「愛」。
彼女の願いの無垢さ、純粋さとは裏腹に、現実世界で不相応な願いを願うと、それは歪んだ代償を必要としてしまう。
ドラえもんに、どんな願いも叶える魔法のランプというものがあったが、それを連想する。
しかしのび太と違ってアリシアは父に願いを頼んだわけでも無いので、自業自得感は全く無く、いっそう悲劇的だ。
バルバラの願い(呪い)を叶える力は、ダミアンの愛。アリシアの父とダミアンは共に元教師であることも、対応関係にあることを思わせる。
冒頭で少女の頃のバルバラと、教師だった頃のダミアンがチラリと登場するが、このころ、彼らの間にどんな事件があったかは語られない。
しかし結果的にダミアンは長年刑務所に服役することになった。おそらく、バルバラの願いを叶える代償を払わされたのだろう。
大人であるバルバラの願いはすでに無垢では無い。憎しみ、打算、虚偽が入るものになる。
最後のシーン。ダミアンがバルバラに携帯を渡すところ。ダミアンの心に去来したものは何か。
バルバラがもう無垢な魔法少女ではなく、汚れた魔女になってしまったという絶望感か。それとも、かつてバルバラのために犯罪を犯してまでやったことが、実はバルバラにだまされていたことを悟った瞬間なのか。
魔法少女というモチーフを使って、勧善懲悪の大団円、ハッピーエンドの真逆をやった意味は…?
現実はアニメのように、「良い偶然」が重なって善が勝つ、というよりは、「悪い偶然」が重なって、全員にとっての「最悪」に突き進む、ってことかな。
語り口の妙♪
伝えたい事を実に丁寧に、そして伏せたい事をさらっと見事に自然に流した、恐るべき語り口──。
只今失業中の父の娘は余命わずかな(←白血病)
「魔法少女ユキコ」
が大好きな少女。
その娘さんは
「ユキコの格好して踊りたいっっ」
んだって☆
なので父、奮闘、奔走、、迷走する…。
全て、ただ ヒ タ ス ラ に……。。。
走る先にわ、そう、バルバラが居る。
影やら過去やらがある女性
バルバラ
に偶然出会う。
バルバラが居るからこそ奔走するのか、
それともハタマタ
バルバラが居るからこそ“結果”迷走に着地するのか...。
是非とも御安心下さいませ♪
例えば気ぃ抜いて観てたとしても
じんわりぃとぉ(笑)
その都度ぉ(笑笑)
衝撃がアラマΣ(゜Д゜」コンニチワ♪♪
傑作っっ!!
Magical Girl
directed by Carlos Vermut
何とも言えない、独特の後味
劇中に出て来るパズルの様に、見事に組み上がるストーリー展開と最後まで埋まらないピース。何とも言えない後味が残る作品でした。日経映画評にも有りましたが、監督は大の日本通。抑制の効いた映像表現と、コスプレ少女の意外な組み合わせが妙。エンドロールにはピンクマルティーニの「黒蜥蜴の女」、痺れました。
難解だな
期待一杯で観に行ったのだが・・・・
1本目で疲れていた事もあって、プロローグが静かすぎて・・・
不覚にも寝てしまいました。
中盤もウトウト
しかし、後半は訳も分からないのに面白い!!
機会があればもう一回観たいと思います。
よかった
難病の娘のために奔走する父親の話かと思ったらそうでもなく、いろいろな人がそれぞれの立場で行動し、その軋轢と世の無常を感じさせる映画だった。
ただ、無常を描くために後付で娘を難病にしているのかと思うと白けるし、表現として心無い感じがする。
なんでお母さんがいないのか気になったし、いくら余命いくばくもない娘のためとはいえ、あんなに高価なコスプレ衣装を買うのはどうかと思う。上手な人や業者にオーダーした方がいい。そこも後付で作り上げた物語のあまりうまくいってなさだと思う。
しかし見終わった後、いろいろな場面が心に残って反芻してしまうので、印象深い映画だったようだ。お父さんが無職で日常を半ズボンで過ごしているところや、出所したおじさんがムショ仲間と親交する場面よかった。
少女の純粋な引き寄せが思わぬ結果を引き寄せるなど納得出来ない!
人生は自己の想い通りにはならず、コントロール出来ないもの?
それとも人生は自分の強い意志に因って改善出来るものだろうか?
それとも、あなたはそのどちらも信じないだろうか?
この作品は、人が基本的に何を信じて人生を何の為に生きるのかと言う価値観でこの映画の観方が大きく変化するのではないだろうか?
病気の少女アリシアは、将来の夢をノートに記す。だがアリシアは夢の実現に関係なく、一人で大好きなアニメと歌に合わせて歌い踊り、自分の境遇に関係なく自分の人生を受け入れて、その中で自分が出来る楽しみを探し出し、日々を生きる。
一方、バルバラを取り巻く全ての大人達は、今の現実に不満が有れば力ずくでも現実を変化させる事や、今の世界を維持する事に躍起になり、現実を受け入れると言う選択をしようとはしない。
ここに、自然と共に存在する日本人観と或いは夢や希望、欲望の為なら、手段を選ばないと言う西洋人観、その両者の基本的な生き方の相違が描かれていた様に思うのだ。
アリシアの父のルイスも娘の夢を叶える為に、悪いとは知りつつも悪に手を染めていく様が描かれているが、果たしてこんな選択をする親がいるのか?
一見するとさも有りそうな選択だが、普通の大人はこんな選択をしない。そしてバルバラを取り巻く大人達も現実的にはこのような行動を取る事も先ず、普通は無いだろう。
女や愛する者の為なら、男は手段を選ばず人生を自ら転落させると言うのも極論過ぎて付いて行かれない。
こんな群像劇は理解出来なくて結構だ!
今日では、世界で何があろうとも、メイドインジャパンの物が各国で愛され、受け入れられる背景には、日本人が各国の文化を猿まねし、オリジナリティーに乏しいと揶揄されようとも世界各国の異なる文化や習慣、宗教の全てを受け入れ、評価し共存する姿勢を貫いて生き、さらにそれらをヒントにして異なる文化をより良い物へと昇華して来たからこそ、今日では日本の製品は世界の中で愛されるのだ。
対立せずに取り込んで進化させて行く文化が有るからこそ、日本が世界から愛されるのだろう。
映画的には工夫を凝らした実験的な作品と言えるかも知れない。
それ故、映画祭を始め、評価の高い作品だが、しかしそれだからこそ、こんなマジカルに引っ掛かってはいけないと作者は言っている様にも思える作品だった。
省略による過剰な想像力が作品を膨らませる
最初のシーンには、ほかの生徒は出てこない。にもかかわらず、教室の空気は伝わってくる。そしてこの関係と、語り口が映画の全体を引っ張る。老数学教師ダミアンと人妻の元美少女バルバラ。そして老数学教師は、その知性を彼女を守るためにのみ使う。ムショに入れられて一度は、彼女との再会をためらったものの、その魔力にとりつかれているのだ。ムショに入れられた事件は謎。バルバラが、精神科医の旦那と暮らす生活も謎めいている。バルバラの過去もかなり謎だ。一方、アリシアとルイスの父娘も謎めいている。不思議の国のアリスの物語では、キャロル・ルイスは文学者であり、かつ数学者でもあった。日本オタクらしいスペイン人監督のデビュー作らしいが、このメルヘンチックなハードボイルドさは、カウリスマキ兄弟を彷彿とさせる。文学教師対数学教師。その愛の表現方法が、あまりに単純そしてストレート過ぎて笑いながら惹きつけられてゆく。お金と愛と人生について考えさせられる寓話。映画らしい映画。ラストは「バードマン」を思い出させた。
つらつらと考える・・・
あまり映画の余韻には浸らない方でして、その場で鑑賞、その場で満足っていうのが私のスタイルなような気もするのですが、この映画に関しては、見終わった後も、なーんとなく思い返しては、あれはこういうことかぁとか、こういう気持ちかぁ、なんて考えたりしちゃっている自分がいますですね・・・ これがやっぱりバルバラの魔力なんでしょうかね・・・
正直言って、そこまで良くできた作品とも思わなかったですし、有無を言わせぬ鑑賞体験というわけでもなかったので、見終わった後はどうかなぁ、なんて思っていたのですが、やっぱりきちんとバルバラの魔力にかかってしまっていたようです・・・ うーん、危険です・・・
タイトルに騙されちゃいけない
ある意味とてもシンプルなストーリー、会ってしまった事は偶然でも後は依然とも思える悲劇
後半はまるで坂を下るような流れとスピード感です。
拳銃撃つシーンは真相理解したからこそ、考えてたら何もできなくなる
もう反射的に撃つしか無かったんだろうなあと思えて驚くより、そうだよねと思えた。
撃ってしまった後はせっないが守るべきものへの必然につき進んでいて、迷ってはいるが選択の余地なしと言う感じ
部屋の紙が白紙だったのはこれから先ノンストップを暗示してると思えば分かるし本人も覚悟のうえ、守る物のため
恐喝、お金作りも短絡だけど守りたいものへの当然の選択とも思える。
2度目の恐喝から、当然反撃?殺されるな~と思えた
嘘ついて反撃頼むが、バレるの前提にも思えた、走り出したらとまない、守ってくれるが
どうせなら誤解したまま殺して欲しかったと思えば真実隠して頼んだのもうなずける
細かな設定や細部はよくわからない所もあるが自分はとともしごく当然に思え共感できた
しかし同時にせつない映画だった、少女が命令されてもふりむかないのは印象的だった
びっくらこいた!
白血病の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」が大好きで、彼女の願いはユキコのコスチュームを着て魔法を使えるようになること。
娘の願いをかなえるため、失業中の父は、そのコスチュームをネットで検索…これがバカ高い!
しかし、その高額なコスチュームを何とか買おうとする。
それをきっかけに運命が狂っていく…
ブラックコメディを織り交ぜながら、群像劇として巻き込まれていく登場人物たち。ある瞬間から繋がっていく。
心を病んでいるバルバラという女性は、いつも上までキッチリとボタンを閉めたブラウス。それが人生とボタンの掛け違えを象徴してるかの様。
またパズルが好きな老人、たった1ピース足りない為にパズルが仕上がらない。これも人生が狂っていくような象徴でお見事!
終盤、口が大きく開いた程の驚き!
想像を遥かに超えましたよ!
この監督、侮れません!!
楽しい気分になりたい人は観てはダメ人間
登場人物や主人公に感情移入できない、とかで映画の出来不出来を考えるタイプの人は観ない方がいいです。
何か映画を見た後に、感動しましたとか泣けましたとか言う人も観ない方がいいです。
女のために破滅に向かっていく男。
そこには理屈や倫理はなくてもよい。ない方がよい。
そこをわかる人にはオススメできます。
マジカル・ミステリー・ムービー
スペイン語を勉強中なので、せっかくだから観てみようかな?的な感じで行きました。
が、期待以上に面白かった!所々に小細工が効いているというか、
「うーんなるほど~」と思わせる感じが。
効いているといえば、なんといっても「春はSA-RA SA-RA」、これでしょう。この曲をチョイスした監督のセンスが凄い。日本人だって知らない人が多いのでは?
シリアスでダークなストーリーになりうるこの作品を、イイ感じに外しています。
「春はSA-RA SA-RA~♪」、しばらく頭の中をヘビロテしてしまいそうです(笑)。
欠けた一つのピースから全てが壊れていく
日本版のポスターがダメなのは置いといて、タイトルから類推される印象とはおよそ異質でブラックな描写に圧倒される作品だ。複数形でないことからタイトルが指しているのはバルバラだろうか。もしあそこでアリシアが本当に魔法を使ってダミアンを‥だったらなんだけどさすがにそれはない。
今作は基本的に言葉が足りないのでそこで多くの齟齬が生じる。そしてその過ちの連鎖はどれもが歪んだ愛情によるもので、バルバラにしてもルイスにしてもダミアンにしても求めている相手から愛されているようには見えない。そもそも登場人物全てが無表情で感情の起伏に乏しい上に言葉も少ないので彼らの性質を確かにするのは難しいだろう。それゆえに観る側は惹きつけられるのだが。
各登場人物のエピソードも過去のものについては肝心な部分は一切描写されない。しかし匂わせてはいるのでそうした事柄を拾い上げて考えるのも興味深い。ダミアンが服役した理由、バルバラの遍歴、ルイスの過去や家庭のこと。そして蜥蜴については想像もしたくないな。あの白紙のカード‥
ところであの魔法少女のステッキレプリカは2万ユーロもするのだろうか笑。そして一人の女性を追い込んでまでして手に入れたレプリカをアリシアに渡したときの反応はどうだっただろう?その後のルイスの行動からも最初のドレスを渡したときと同様だったことが伺える。ルイスは娘を理解していないが自分に出来ることが無いことに気付いてもいるのだろう。カフェの女性店主に常識で諭されてもそれが自分たち親娘には通じないことがわかっているのであのようにモノで解決しようとするしかない。悲しいというよりも滑稽だ。アリシアは自分の態度で父親を傷つけたと気付いてからのあのサプライズだったか。長山洋子のデビュー曲が日本人にとっては必要以上にザラつくので忘れられないシーンになった。
ちなみに今作を観ていているときに思い出したのが『害虫』だったりしたのだけどそこからもどんどん離れていってラストはなんと小粋に締める、てそれはどうよと突っ込みたくもなるがまあいいか。
ちなみに詳細はわからないがこのポスターが秀逸だと思う。
https://goo.gl/M4VDXi
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