劇場公開日 2016年3月12日

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「少女の純粋な引き寄せが思わぬ結果を引き寄せるなど納得出来ない!」マジカル・ガール Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

1.5少女の純粋な引き寄せが思わぬ結果を引き寄せるなど納得出来ない!

2016年4月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

難しい

人生は自己の想い通りにはならず、コントロール出来ないもの?
それとも人生は自分の強い意志に因って改善出来るものだろうか?
それとも、あなたはそのどちらも信じないだろうか?
この作品は、人が基本的に何を信じて人生を何の為に生きるのかと言う価値観でこの映画の観方が大きく変化するのではないだろうか?
病気の少女アリシアは、将来の夢をノートに記す。だがアリシアは夢の実現に関係なく、一人で大好きなアニメと歌に合わせて歌い踊り、自分の境遇に関係なく自分の人生を受け入れて、その中で自分が出来る楽しみを探し出し、日々を生きる。
一方、バルバラを取り巻く全ての大人達は、今の現実に不満が有れば力ずくでも現実を変化させる事や、今の世界を維持する事に躍起になり、現実を受け入れると言う選択をしようとはしない。
ここに、自然と共に存在する日本人観と或いは夢や希望、欲望の為なら、手段を選ばないと言う西洋人観、その両者の基本的な生き方の相違が描かれていた様に思うのだ。
アリシアの父のルイスも娘の夢を叶える為に、悪いとは知りつつも悪に手を染めていく様が描かれているが、果たしてこんな選択をする親がいるのか?
一見するとさも有りそうな選択だが、普通の大人はこんな選択をしない。そしてバルバラを取り巻く大人達も現実的にはこのような行動を取る事も先ず、普通は無いだろう。
女や愛する者の為なら、男は手段を選ばず人生を自ら転落させると言うのも極論過ぎて付いて行かれない。
こんな群像劇は理解出来なくて結構だ!

今日では、世界で何があろうとも、メイドインジャパンの物が各国で愛され、受け入れられる背景には、日本人が各国の文化を猿まねし、オリジナリティーに乏しいと揶揄されようとも世界各国の異なる文化や習慣、宗教の全てを受け入れ、評価し共存する姿勢を貫いて生き、さらにそれらをヒントにして異なる文化をより良い物へと昇華して来たからこそ、今日では日本の製品は世界の中で愛されるのだ。
対立せずに取り込んで進化させて行く文化が有るからこそ、日本が世界から愛されるのだろう。

映画的には工夫を凝らした実験的な作品と言えるかも知れない。
それ故、映画祭を始め、評価の高い作品だが、しかしそれだからこそ、こんなマジカルに引っ掛かってはいけないと作者は言っている様にも思える作品だった。

ryuu topiann