「ロックミュージシャン」スティーブ・ジョブズ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
ロックミュージシャン
ビジネスの世界でなければそう呼ばれる人なのだろう。この人を神様とあげつらってるのは、林檎使いか、何も知らない中小企業の中間管理職位で、この人を“天才”だなんて評価することは全くの間違いだ。
そんな“ミュージシャン”の苦悩と栄光、挫折と克服を、まるでシェークスピアみたいな英国的演劇のペーソスで描いている作品である。
製品というもの、そのものは結果ではない、この人にとってはそれは通過点でしかなく、最終的には『文化』という雲のような抽象を産み出そうとしているのではないかと思う。だからこそ普通の人が妥協するモノを拒否し、友人、娘、三顧の礼で招いた仕事上の先輩等々、その全てを敵に回してもそれでも自分の信念を変えない偏屈。
病的と言ってもよいその性格がカリスマを作り出す。本当にやっかいな仕組みだと思う。
屋上で娘と和解した際、娘の持ってるWALKMANをみて、そんな煉瓦みたいなものではなく、もっとスマートなもので、それ以上の楽曲が入ってるものを作ると言ったそのセンスこそがこの人物を如実に物語ってるのではないだろうか。
あくまでもプレゼン前のあのゴタゴタはフィクションなのだろうけど、本当にあるいみこれは舞台で芝居で観るのが適してる、そんな作風に仕上がっている。意図したものだろうけど・・・
コンピュータをヲタクにだけのおもちゃにしない、他の白物家電と同等にする、それには一切ガワを開けさせないという発想そのものは、やがて“iPhone”という携帯電話に昇華することで、結実を向える。おもちゃではなくカルチャーとして。
起業と企業は違う。そこは押えておかねばならない。