「スティーブ・ジョブスという人」スティーブ・ジョブズ Movieアパートさんの映画レビュー(感想・評価)
スティーブ・ジョブスという人
アメリカでは事実と異なるという批判もあるみたいだけど個人的にはある種の真実を観客に体感させる映画だったと思う。
それはすばり 「スティーブ・ジョブスがもし知り合いにいたらこういう気持ちにあなたはなります!」という、この一点に尽きると思う。
まず映画の構造が、スティーブ・ジョブスの人生を始まりから終わりまで辿る、というよくある伝記映画の構造とは違ってすごく限定された状況のみで構成されてるというところがミソだったと思う。つまり、観客に過度にスティーブ・ジョブスに感情移入させることなく、あくまで客観的な視点を保たせることで彼がどういう人間かを冷静に見させるという効果がこの少しイレギュラーな場面構成にはあったと思う。
また、彼の人生を切り取る上で新製品お披露目直前の舞台裏という場面を選んだのも凄く上手いと思った。勝手な想像だけど、彼のアーティストや経営者、また人間としての美学みたいなものが最も集約されてるであろう場面として納得がいくし、開演直前の慌ただしさのテンポも彼が持つ狂気とか暴力性みたいなものとマッチしてて見てて何となく心地よかった。
結果として映画を通して観客は、スティーブ・ジョブスという人間が持つ狂気と、それでも何故彼が偉大と呼ばれているのかということの片鱗を確かに感じられるような作りになってて、個人的にはかなりグッときた一本となった。
コメントする