劇場公開日 2016年1月2日

「タイトルが秀逸」ヤクザと憲法 poyuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0タイトルが秀逸

2017年2月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

まず、タイトルが秀逸。最初から狙っていたわけじゃないと思うが、「ヤクザと憲法」というタイトルに至ったのはスゴイ。
古典的ヤクザ映画のようなカチコミは一切なく、コーヒーを入れ新聞を読み電話番をするヤクザの生活。懲役中に差し入れられる本にはナンバリングがしてある。猫の図鑑は刑務所の中で癒しになるのだという。
組事務所の前の道路は通学路。ランドセルを背負った子供達が行き交う。大親分の葬式に集まったヤクザたちの間にも、ランドセルの子供達は歩いていた。

新世界の町を歩く川口会長。行きつけの小料理屋のオバちゃんは、「怖くないですか?」という問いかけに「怖かったら新世界で店はやれない。警察は守ってくれないが、この人たちは守ってくれる」と力説。
しかし、判で押したようなその言い回しがみように気になった。
年寄りと、ADHDのような青年しかいない事務所。半グレ集団が幅をきかせるようになる中、この世界はどうなっていくのだろうか。

暴対法が社会の隅々にまで行き渡り、追い込まれて行くヤクザたち。脱退したものも5年間はまともな社会生活は送れないようになっている。 テレビの音がこだまする(それが、自分たちの見ているのと同じテレビであることに不思議な違和感を覚える)殺風景な事務所の中で、ヤクザたちはただじっと座り続ける。

とにかくよく撮ったと思うし、撮らせたと思う。東海テレビドキュメンタリーの凄み。各テレビ局のディレクターは、コンプライアンスという鎧を捨てなければならない。

poyu