「サウルのやり残したこと。」サウルの息子 せんだいさんの映画レビュー(感想・評価)
サウルのやり残したこと。
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とにかく意味が分からなかった。常にサウルにカメラが向けられ、周りはボヤけて状況はよく分からない。
「ゾンダーコマンド」という役割、アウシュヴィッツ収容所での出来事。その2つの認識だけで話は展開されていく。
ただひたすらにサウルが歩き、黙々と作業をし、何語か分からない言葉で怒鳴られ、引っ張られ殴られ…。
何が起きているのか分からないまま、サウルは息子を発見。息子を埋葬しようと話は急展開を迎える。
サウルしか見えない。周りが良く見えないという描写はサウルが置かれている精神状態を投影していると思う。
例えるなら、凄い人混みに巻き込まれたり、過程も理由も教えられずにやらされる仕事みたいな…。
周りが見えずに取り敢えず目の前の作業をこなすみたいな感じだろうか?
そんな感覚でこの映画を観ると、不思議なくらい没入してしまう。映像に入り込んでしまう。
そして、周りの迷惑も気にせず、とにかく埋葬をやり遂げ無ければならない。憑依されたように邁進する意味は何なのだろうか?
未来への希望があったはずの息子達への償いだったのだろうか?
来世で幸せになるよう、ちゃんと埋葬してあげたかったのだろうか?
ラスト、子どもを見て笑ったのは何故なのか?
自分は死んだようなものだ。どうせ死ぬんだ。そんな絶望と諦めの時に、純粋無垢な子どもをみて、期待と希望を感じたのではないだろうか?
未来の平和な世界を夢みてサウルは死んでいったのではないだろうか。
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