「好き嫌いでは判断出来ない映画」サウルの息子 悪源太さんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いでは判断出来ない映画
こういう作品が評価され、公開されている事を幸せに思わなくてはならない。
ただ、僕はダメだった…。
ただでさえ小さいミニシアターの画面がさらに小さくなり、普段だったら全く気にならない程度のメガネの曇り汚れが気になって仕方がなく感じる程の、あえての「ピンぼけ画面」に、
「うわっ!見づらっ!」っと思い、全く入っていけませんでした…。
良心と良識を以て作られた作品であり、劇中音楽を全く使わずエンターテイメント性をあえて排除した手法は高く評価出来ますが、僕にはきつかった…。
《追記》
サウルが埋葬にこだわる理由はユダヤ教の教義に基づいているのですが、これがどういう教えなのかを理解していないと、サウルの行動にまるで共感出来ません。
僕は観賞後にコレを知り、やっと合点がいきました。
これから観る方はユダヤ教の思想・死生観・墓の定義を調べてから観た方が良いです。
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夢見る電気羊さんのコメント
2016年3月4日
彼が埋葬にこだわるのはユダヤ教だからではないですよ。だったら、他のユダヤ人もそうしてないとおかしいでしょ。
彼は人間としての死を少年に与えるために埋葬にこだわったのです。つまりは人間の尊厳を守るために。同じユダヤ人の虐殺に加担するという想像を絶する仕事をして心が壊れていたのでしょう。そんな中で、少年をちゃんとした手続きで埋葬することで人間の尊厳を与えられるという、彼の唯一の生きる意味だったのです。これは日本人だろうがやることは同じです。お坊さんを呼んでちゃんと弔う。これだけのことです。
アウシュビッツでは、部品と呼ばれ、人間としての死が得られなかったからこそ、こんな当たり前の弔いが、主人公にとっては重要だったんですよ。