「人を多面的に描くには実写より平面のアニメが適している良い例」映画 聲の形 momoさんの映画レビュー(感想・評価)
人を多面的に描くには実写より平面のアニメが適している良い例
クリックして本文を読む
この作品はアニメで制作され、二次元であることで、人を多面的に描くことに成功している。
三次元で実写化したら白々しいと思う。
障がいを持つ少女を取り巻く様々な人間関係を子供時代から青年期までそれぞれ描写するのは単純ではない。
各自の中にある悩みや葛藤は平面的に単純な性格や心理描写では描ききれない世界だ。
主人公から見た世界は人の顔にバッテンがついていて、それが、あるタイミングでぺろっと剥がれる。同時に異音が響く。
こういった描写もアニメだからこそすんなり受け入れられるし、面白い設定だと感じた。
実写でやると陳腐になることがすんなり受け入れられるし、最大限の効果をもたらしている。
手話がわかる人が観ても手話を見せず明かさないシーンを取り入れることでより、その時伝えようとした事が後からくっきりと浮かび上がってくる。
母親2人と少年みたいな妹のそれぞれの立場からの愛情も大変多面的だ。彼女たちは脇役でありながらもその辺の実写映画よりも深いところまで心のうちが描かれているのだ。独白も説明ゼリフも全くないというのに。
花火のシーンが美しくも悲しい。
生きることを手伝い合う事で生きていくことを選択し続けてほしい。
日本が世界に誇れるアニメの中でもかなりの良作だ。
コメントする