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2010年、チリのアタカマ州コピアポ近郊にあるサンホセ鉱山で起きた落盤事故。作業員33人が地下700mに閉じ込められ、実に69日後に救出。
連日報じられニュースで見ていたし、いつぞや療養中だった99岡村が(めちゃイケだったかな…?)この事故のカプセル救出風でカムバック登場してみたり。今だったら事故をパロディーにするなと炎上しそうだけど…。
世界中が注目した事故~生還劇を映画界が放っておく訳ない。2015年に映画化。
が、大して話題にもならず、ヒットもせず…。日本ではほんの一部の劇場で公開され、全国的には未公開のようなもの。
かく言う私も事故から14年、映画化から9年経って今更ながらの初鑑賞。
本当に奇跡の生還劇と言っていい。
地下700mに閉じ込められ、救出は難航。水や食料は避難所の備蓄の3日分しかない。誰だって思う。絶望的…。しかし遂に突破口を見出だし、彼らは還ってきた。33人全員が。ドラマチックだ。
本作も悪くはない。ニュースだけでは知らなかった事を知る事が出来た。
閉じ込められた33人の家族への会社の対応。一切情報も詳細も伝えず。それどころか、隠蔽さえも…。詰め寄る家族に対し、警備員は銃を威嚇発砲。あれ、ホンマかね…。
事故に対し、政府も当初は無関心。現場の責任であって、国が助ける義務はない。若き鉱業大臣はこの事故は国中の大きな注目を浴びており、国が全力を尽くして救出すれば…と大統領に進言。大統領は救出劇で大変支持を集めたとWikipediaに記されているが、実際の所は…。事実か脚色か分からないが。
地下深くの33人。僅かな水や食料を巡って一触即発。17日後に生存が確認されるも、精神状態を危惧。ある事をきっかけに修羅場に…。
ニュースでは伝えきれない生々しい真実がある。
それらは目から鱗だったのだが…、残念ながら作品自体は可もなく不可もなく。平凡だったと言わざるを得なかった。
何と言うか、ダイジェスト的。“DAY○”と日にち(展開)も早々と過ぎていく。
地下の33人、地上の大臣や救出隊、家族と群像劇の形を取っているが、描かれるのは若干の特定人物だけで、巧みなアンサンブル劇にならず。ドラマや人物描写も今一つ深みに欠ける。アントニオ・バンデラスやルー・ダイヤモンド・フィリップスは熱演見せるが…。
非常に危機的状況ながら、何故かさほど緊迫感が伝わって来ない。地下の息苦しさ、閉塞感も…。
地下と地上が交錯して展開。もしこれが救出まで地下シーンのみだったら閉塞感はあったかもしれないが…。
でもそうすると地上の救出作戦が描けない。こちらもこちらで描けるものはあり。なかなかに難しい所。
17日後に生存が確認され、ビデオカメラを通しての家族とのやり取りや水食料の供給があり、いったん緊張が和らいでしまう。実際の33人にとっては救いであり、事実なのだからしょうがないが。その後の救出までのもどかしさはあるが…。
金を掛けた再現ドラマ…とまでは言わないが、作品的にはまずまず。事故の詳細や政府・会社の知られざる対応に衝撃。
一番の当事者たち。33人とその家族。
幾度かぎくしゃくした人間関係だが、真意を知って…。
全員で生還する。
家族の喜び。
EDでは実際の彼らの映像もあり、危機的事故を乗り越え固く結ばれた絆を謳う。
それは見ててやはり微笑ましい。